Dimensity 9400とQ2チップを搭載する、iQOO Neoシリーズの最新モデル「vivo iQOO Neo10 Pro」を購入したのでレビューします。
iQOO Neo10 Pro
スペック・仕様
vivo iQOO Neo10 Pro(V2426A) | |
OS | OriginOS 5(Android 15ベース) |
SoC | Dimensity 9400(TSMC 3nm N3E) |
メモリ | 12/16GB(LPDDR5X Ultra)※¹ |
ストレージ | 256/512GB/1TB(UFS 4.1) |
ディスプレイ | 6.78インチ OLED (2800×1260/1-144Hz:8T LTPO) |
サイズ・重量 | 疾影黑:162.92×75.4×7.99mm/199g 驰光白・拉力橙:162.92×75.4×8.1mm/206g |
バッテリー | 容量:6100mAh(デュアルセル・3050mAh×2構成) プロトコル:FlashCharge 120W/PD(PPS)100W/UFCS 44W |
カメラ | 50MP(メイン:Sony IMX921 1/1.56型)※² 50MP(超広角:Samsung ISOCELL JN1 1/2.76型) 16MP(フロント:Samsung ISOCELL 3P9 1/3.1型) |
インターフェース | USB Type-C(USB 2.0/480Mbps) nanoSIM×2 |
オーディオ | ステレオスピーカー Hi-Res Audio(44100~192000Hz) コーデック:LHDC V5/LDAC/aptX(HD)/AAC/SBC |
接続規格 | Wi-Fi 7/Bluetooth 5.4/NFC |
防水・防塵 | ? |
生体認証 | 超音波式指紋認証/顔認証※² |
その他 | ・※¹:Ultra=LPDDR5X-9600(MT/s) ・※²:Sony IMX921=LYT-702 ・※³:Goodix製3Dシングルポイント超音波指紋センサー ・参考元:vivo.com.cn/igao7.com/chongdiantou.com |
開封・内容物
Dimensity 9400自体はららりら兄弟がX200 Pro miniで先行して記事にしていますが、やっぱり自分で触れてみないと分からない部分もある&Qualcomm・MediaTekの最新世代は両方試しておきたいので、京東で約7.3万円(送料や諸々込)にて購入。
日本には2日程度で到着し、税関→国内配送業者間で少し時間取られて手元に届いたのは注文から6日後。久しぶりの京東経由ですが、やっぱり”悪くは無いけど”AliExpressや天猫(淘宝網)よりも京東の方が速いし、輸入消費税周りも面倒が少ないのでGoodです。
内容物はいつも通り、ケースやACアダプターなど一式が揃った買ってすぐに使える「中華スターターセット」です。
パッケージ内容 |
・iQOO Neo10 Pro ・ACアダプター(最大120W) ・USB Type-C to Cケーブル ・保護ケース ・画面保護フィルム(貼り付け済み) ・SIMピン ・マニュアル類 |
デザイン・外観
iQOO Neo9S ProやOnePlus 13に続き、iQOO Neo10 Proでもホワイト(驰光白)を選びました。ゲーミング路線ながらシンプルな外観で好みです。
iQOO Neo9シリーズのシンプルなデザインを踏襲しつつ、Neo10シリーズではカメラ部分のデザイン(Deco)が”フローティングウィンドウデザイン”に置き換わり、Neo9シリーズよりも若干カメラ部分の厚みが増して主張が強くなった印象です。
iQOO Neo10シリーズではNeo9シリーズ同様にプラスチック製のフレームを採用していますが、プラスチックフレームの処理としては珍しい”インジウムワイヤープロセス”が用いられ、ステンレスのような質感をプラスチックでありながら再現しています。
ノポンばりに「インジウムワイヤープロセスすごいも!」と言いたくなるくらい質感が中々に良く、軽量化に寄与&アルミフレームよりも高負荷時に手に熱が伝わりにくいメリットがあるので、同様のプラスチックフレームの採用が増加してほしいところ。
背面パネルには引き続き指紋や反射が目立ちにくいAGガラスを採用。同じホワイト系のAGガラスでもiQOO Neo10 Proの背面は、Redmi K40(POCO F3)シリーズのホワイトの質感に近いです。(一加13はサラサラ感強め、Neo10 Proはガラス特有の抵抗感アリ)
ディスプレイ側はフラット形状、背面パネルはプラスチックフレームまでの端部分が僅かにカーブしており、手にフィットしやすく持ちやすい方です。
iQOO Neo10 Pro(驰光白)の重さは約208gです。
Neo9シリーズから重くなったと捉えるか、5160から6100mAhに940mAhもバッテリー容量が増加しながら、この程度で抑えられていると評価するかは人それぞれです。(どちらかといえば後者)
OS:OriginOS 5
iQOO Neo10 ProはAndroid 15ベースのOriginOS 5を搭載しており、いつも通り日本語やGoogleサービスに”大体は”対応してます。
良くも悪くもOriginOS 4から大幅な変化は無く、従来のOriginOS 4のアニメーションがより強化され、Originアイランドが追加された程度です。
ホームランチャーの変更にvivoアカウントへのログイン+置換を許可しないといけなかったり、タスクキルを緩めるのが少し面倒&ColorOSでいう”電荷制限”やいたわり充電的なバッテリー%を指定した充電に対応しなかったりと、4→5で使い勝手の改善はあまりされていない印象です。
そういえばOriginOS…というか、Xiaomi/OPPO/vivo等の大手中国メーカーのOSは中国でもまだ多い32bit版アプリに対応するためなのか、Snapdragon 8 Gen 3のような32bitレイヤーの無いCPUで構成されたSoCでも、32bit版のアプリ使用が可能(ネイティブ動作ではない)。
そのためDimensity 9400(iQOO Neo10 Pro)でも、一部から根強い人気のあるQP.Galaxyや32bit版でビルドし(てしまっ)たRVX等を、32bitアプリ向けのモードで無理矢理動かせます。(ColorOS 15…OnePlus 13で触れようとしてお蔵入りしたので今更消化)
ディスプレイ
iQOO Neo10 Proは6.78インチ・2800×1260(1.5K)、1-144Hzの8T LTPO駆動に対応するOLEDディスプレイを搭載しています。
Visionoxの最新鋭・最高クラスの”Visionox F1”を用いたディスプレイで、元々優秀なNeo9シリーズ(Visionox VM7)から更に強化された、「国产旗舰屏幕普及者」の謳い文句通り上位存在にも引けを取らない、旗艦級のハイレベルなディスプレイです。
WidevineセキュリティレベルはL1に対応。動画ストリーミングサービスで高画質な再生が可能です。
Neo9シリーズでは最上位のNeo9S”Pro+”以外は光学式の指紋認証センサーでしたが、Neo10シリーズでは無印モデル含めてGoodix製の超音波3D指紋センサーかつ中央寄りの配置にアップグレードされています。
センサーが下側よりも認証しやすい中央寄りの配置になったおかげで、超音波式の速度も相まってとてもスムーズにロック解除可能です。
Type-Cポートと充電速度
iQOO Neo10 ProのType-CポートはUSB 2.0(最大480Mbps)で外部出力にも非対応です。
iQOO Neo10 Proは最大120W出力の”vivo FlashCharge”に対応おり、C端子のACアダプターとC to Cケーブルが付属しています。
が…100-240Vに対応するNeo9シリーズ付属の”V12060L0A0-CN”等ではなく、100-120VではVFCP 80W/PD(PPS)65Wに低下する”V12060L1A3-CN”等の場合があります。開けるまでどれが付属しているか不明なので…日本人にとっては充電器ガチャです。
”V12060L0A0-CN”比で”V12060L1A3-CN”は、UFCSの最大出力が44Wに向上しているため中国で使う場合は上位互換、日本で使った場合もUFCS対応の端末を充電する場合は恩恵がありそうですが…まぁ、100-120V対応アダプターの方がウレシーですも。
100-240Vに対応するNeo9シリーズ付属の”V12060L0A0-CN”でiQOO Neo10 Proを充電し、バッテリー残量5%状態から95%までの充電経過をKM003C+Mtoolsで簡易的に計測してみると、所要時間は約42分程度・ピーク時の出力は約104Wでした。
POWER-Z KM003C+Mtoolsでの簡易計測(バッテリー5%→95%) | |
vivo FlashCharge 120W(VFCP) 所要時間:41分30秒 | 最大電圧:約18.1V |
最大電流:約5.7A | |
最大出力:約104W |
Neo9S Pro・Neo9(無印)だとVFCP 120Wで100W前後が出力されるものの、30%前後で18Wに固定されて50分掛かる謎の挙動でしたが、Neo10 Proでも似たような感じの変則的な出力推移です。ただ、途中で40~50W台に出力が乱高下したので所要時間は若干短くなってます。
iQOO Neo10シリーズは、vivo FlashChargeだけでなくUSB PD(PPS)でも最大100Wに対応しており、(仮に)充電器ガチャにハズレて”V12060L1A3-CN”が同梱された場合でも、一般的なPD(PPS)100W対応のアダプターから十分な速度で充電できます。
(中国メーカー間での)互換性に優れたUFCSにも引き続き対応。Neo9シリーズの33Wから最大44Wに出力が引き上げられ、メイン出力でVFCP 120W/PD(PPS)100W・サブ出力のUFCSでも44W…と互換性・出力に隙がないです。
オーディオ
iQOO Neo10 Proは従来のvivo(iQOO)端末と同じように、スーパーオーディオから4つのモードプリセットの変更、低品質の動画・音声ファイルを最適化・向上させるスーパー解像度機能などのサウンドエフェクトに対応しています。
OnePlus 13(Snapdragon 8 Elite)に続いて、Neutron Music Player経由だとSoC(内蔵DAC/DSP)の再生可能周波数の確認が、Android 15ベースのOriginOS 5に対応できていない(48000Hz固定)です。アナログ出力自体は問題なく行えます。
代わりにAIMPやHibyMusic経由でサンプリングレートを確認してみると、iQOO Neo10 Pro(Dimensity 9400)でも441~192KHzまで変更可能かつOutput:192KHz(Android)で再生できていました。(が、ネイティブ192KHz/24bit音源で16bitに出力が低下)
iQOO Neo10 Pro:Hi-Res Audio&アナログ出力テスト | ||
再生可能周波数 | Speaker:44100~192000Hz Line-out:44100~192000Hz | |
アナログ出力 | 可能(DAC非搭載の変換アダプターもOK) |
iQOO Neo10 Proのスピーカーは、AAC Technologies製のAAC 1012(上部)+型番は不明ながらN’Bass音響補強材が充填された下部スピーカーの密閉型ステレオ構成。音質はざっくり「より繊細になったNeo9S Pro」というイメージです。
中・高音域がNeo9S Pro比でより細かく・解像感が増しつつ、N’Bassが充填された下部スピーカーのおかげか僅かに低音も増したように思います。低域や音の広がりみたいなのは、OnePlus 13クラスを相手にすると流石に見劣りします。
ベンチマークテスト
”hiro・ららりら”で計測データの共有・内容の共通化も含めて構成した、「りとらいん:ベンチマークレギュレーション」は以下の通りです。
環境・内容の記載は必須では無いですが…テスト内容等は日増しに変化するため、後で読者サンへの誤解を生まないために記載しています。
りとらいん:ベンチマークレギュレーション・テスト内容(Ver.1.25) | 担当 | |
CPU性能 | Geekbench 6 電力性能曲線 | hiro・ららりらで共通 |
GPU性能 | 3DMark Steel Nomad Light 電力性能曲線 | |
ストレージ メモリ性能 | CPDT Benchmark | |
ゲーム性能 | World of Tanks Blitz ミデルブルフ/リプレイテスト | ららりらが担当 |
勝利の女神:NIKKE 射撃訓練場でのフレームレート(3分間) | hiroが担当 | |
原神・スメールシティ 夜蘭C1ランニングテスト(30分間) | hiro・ららりらで共通 | |
ゼンレスゾーンゼロ・ルミナスクエア 日中でのランニングテスト(20分間) | ||
崩壊:スターレイル・ピノコニー/黄金の刻 黄泉 四相断我無双(秘技)移動テスト(30分間) | ||
エクスアストリス・ドラン/貿易地域 ランニングテスト(25分間) | ||
【iQOO Neo10 Pro】 ・OS:OriginOS 5(Android 15/PD2426_A_15.0.11.9.W10.V000L1) ・SoC:Dimensity 9400 ・メモリ:12GB(LPDDR5X 9600Mbps) ・ストレージ:256GB(UFS 4.1) ・動作:モンスターモード(OriginOS) | ||
その他 | ・リフレッシュレート:各端末での最大値 ・ディスプレイ輝度:各テスト端末での50%固定 ・通信環境:Wi-Fi 5(5GHz接続)&機内モード |
性能評価方法を中華圏に近づけた、realme GT6以降のレギュレーション(1.2)から主な変更点は無いです。
以前まで「電力効率曲線」と呼んでいた電力効率の確認曲線を、消費電力あたりの性能を示す「電力性能曲線」に改名した他、次世代SoCが出揃うまでWild Life ExtremeとSteel Nomad Lighth併用構成だったものを、Steel Nomad Lightメインに変更…等のマイナー更新です。
各ゲームタイトルのテスト内容・ランニングコース等の簡単な説明も下のタブに記載してあるので、(一応)目を通して貰えると助かります。
- メガニケ
- 原神
- ゼンゼロ
- スターレイル
- エクスアストリス
勝利の女神:NIKKE(メガニケ)でのテストは、戦力増強に伴い迎撃戦(特殊個体)での討伐時間が60秒未満で終わってしまい、テストとしては微妙になってしまいました。(メガニケ自体が負荷としては”ジャブ”、軽いタイトルとしての採用なのもありますが…)
また、ボス単体よりも複数体のラプチャーが出てくるノーマル・ハードステージの方がシチュエーションとしては重いため、(旧)1分30秒→(新)3分間のテストが可能になった、射撃訓練場(3分間)に変更することにしました。
複数体のラプチャー+モダニアのバースト(残滅モード化)が相変わらず重めなので、モダニアは60fps下かつキャンペーンでの雑魚処理バースト運用想定です。
原神のテストは引き続き、”スメールシティ/夜蘭C1ランニング”を採用。中華圏でもテストとして用いられている、重いスメールシティを夜蘭の元素スキルでランニングし続けるテストです。(中国の方だとランナーを早柚やリネットなどに変えた派生形も存在)
エネミーの行動パターンや戦闘のローテーションといった、ランダム性を排除した純粋なマシンパワーの測定です。スメールシティそのものに大量のNPCが配置され、地形も複雑なためCPUボトルネックの差も大きくなります。
Geekerwanサンのコースを参考にしつつ検証用に周回ルートを組み換えて、1周あたり夜蘭が1凸の場合約4分のコースを作成。このコースをひたすら各端末で30分間ランニングして動作検証しています。(実際のルートは以下の通り)
ゼンレスゾーンゼロ(ゼンゼロ)でのテストは、現在実装されているマップ内でもっとも重く、原神と同等以上のCPUボトルネックが生じる”ルミナスクエア”をNPC数が多くなる日中(夜だと低負荷)に、一定のルートを移動して20分間計測しています。
スターレイルでのテストはトップクラスのGPU負荷を誇る、ピノコニー(黄金の刻)かつ一定のルートを更に負荷の掛かる黄泉の秘技「四相断我」を連打して移動し、30分間計測します。安直に”黄泉 四相断我無双移動テスト”と呼称しています。
”黄泉 四相断我無双移動テスト”はSnapdragon 8+ Gen 1と同等以上のGPU性能が必須となる、ピノコニー(黄金の刻)でのランニングテストにフレームドロップが発生しやすい黄泉の秘技を重ねることで、下手なベンチマークテストを超えた負荷を”実ゲームで”掛けることを目的として、hiro・ららりらで作成したテストです。(実際のルートは以下の通り)
エクスアストリスでのテストは、物語中盤「ドーントレスの旅」で訪れる”貿易地域”で一定のルートを移動して25分間計測しています。エクスアストリス自体が重めのタイトルなので、負荷への影響は軽微なものの住民(NPC)が殆ど消える前の貿易地域を採用しました。
消費電力や温度、フレームレートなどの測定には従来に引き続き、Scene 8(TOOLBOX-SCENE)のadb/rootモードを利用。
また、比較に使用した各端末の詳細やデータは興味があれば、りとらいん内の各レビュー記事を参照して下さい。
Geekbench 6
Geekbench 6 | |
【Dimensity 9400】 Cortex-X925(3.62GHz)×1 Cortex-X4(3.3GHz)×3 Cortex-A720(2.4GHz)×4 | |
シングルコアスコア:2934 マルチコアスコア:9037 最大消費電力:19.6W |
CPU性能を計測するGeekbench 6の結果です。Dimensity 9400(iQOO Neo10 Pro)を含めて、スコアを比較したグラフは以下の通り。
実質的にCortex-X925を2つ積んだうえでD9400より高クロックな状態に近いSnapdragon 8 Elite(X925≒Oryon-L)、依然としてシングルコア性能の頂点に立ち続けているA18 Proと比べると”スコアは”やや見劣りします。
とはいえ…Cortex-X4世代のSnapdragon 8 Gen 3やDimensity 9300(+)を大幅に上回り、Dimensity 9400も最高クラスの1つであることは変わらないです。
いつも通り最大スコア÷5/×4/+各SoC最小周波数の計5点でマルチスコアと最大消費電力を測定し、簡単な消費電力あたりの性能曲線を作成して各CPUのワットパフォーマンスを確認。(非rootかつモード別の性能差が生じないため、Neo10 Proはピークのみ)
縦軸がスコア・横軸が消費電力で、基本的に電力性能曲線は測定点・曲線(カーブ)が左上になるほど良く、右下になるほど悪いです。
OnePlus 13の記事で「Snapdragon 8 Elite・Dimensity 9400どちらも12W以降は絶対性能寄りで消費電力に対してスコアの伸びが悪い」と「最大スコアよりも低~中(12W以下)区間の性能・効率向上に価値がある」と書ききってしまったので、ぶっちゃけ…今回言えることは少ないです。
6.31インチの小型寄りな筐体サイズの都合上、発揮できる最大性能に制約があったX200 Pro miniよりDimensity 9400としての最大性能・消費電力量が伸びた分、測定点の位置も右側の方に移動してしまいます。(低~中区間は恐らく8 EliteやA18 Proと同等水準)
3DMark
3DMark Steel Nomad Light | |
【Dimensity 9400】 Immortalis-G925 MC12 (1612MHz) | |
Overall score:2484 平均消費電力:11.04W |
新しいGPUハードウェアに適した重量級のGPUベンチマーク、3DMark Steel Nomad Lightではスコア2484でした。比較グラフは以下の通り。
個人的には8 Elite・D9400世代で一般的なLPDDR5X-8533(Mbps)よりも高速な9600(Mbps)を搭載し、筐体サイズ的にもDimensity 9400(Immortalis-G925)のポテンシャルを引き出して、Snapdragon 8 Elite(Adreno 830)を超えると思っていたのですが…。
root化してメモリクロック・GPUクロックを固定できるOnePlus 13(Snapdragon 8 Elite)と違い、外部冷却込みでもiQOO Neo10 Pro(Dimensity 9400)はクロックが常に固定される訳では無いため(周波数上の)最大性能同士にならなかった差分な気がします。
各GPUの動作周波数/スコアごとでの平均消費電力を測定し、簡単な消費電力あたりの性能曲線を作成して、各GPUのワットパフォーマンスをSteel Nomad Lightで確認したグラフが以下の通り。
X200 Pro miniと比べて冷却面で有利かつX200 Pro miniはLPDDR5X-8533(Mbps)、iQOO Neo10 Proは9600(Mbps)のより高速なメモリを使用しているため、Dimensity 9400(LPDDR5X-8533)よりも性能・消費電力面でやや優勢です。
极客湾サンのLPDDR5X-8533での結果と、小白サンのQRD含めたLPDDR5X-10667での結果を考慮するなら、(Steel Nomad Lightにおいては)Adreno 830とImmortalis-G925は完全に互角。
Immortalis-G925が典型的なTBR、Adreno 830はIMRに近いレンダリング方式といった違いがあるのも興味深いです。
CPDT Benchmark
CPDT Benchmarkでストレージ・メモリ性能をテスト。テストのファイルサイズは1GB、BufferingやCacheはOFFの標準設定です。
CPDT Benchmark | |
【シーケンシャル性能】 書き込み:1.00GB/s 読み込み:1.73GB/s | |
【ランダム性能】 書き込み:34.25MB/s 読み込み:19.24MB/s | |
【メモリコピー速度】 20.54GB/s |
iQOO Neo10 ProはLPDDR5X Ultra(9600Mbps)+UFS 4.1を採用していますが、CPDT上ではあまり振るわない結果です。シーケンシャルは従来のDimensity搭載機比較で向上、ランダムは逆に若干低下しています…。
メモリコピー速度はDimensity搭載機の中だと過去最高の値です。
ゲーム性能
勝利の女神:NIKKE
フレームレートによっては一部のキャラクターで火力に影響があり、60fpsをなるべく維持したい「勝利の女神:NIKKE」での性能をテスト。
テストに採用している中では動作負荷が軽めなタイトルで、どちらかと言えばCPU性能と最適化やOSの相性が動作に影響します。
射撃訓練場でのフレームレート(3分間) | |
フレームレートや消費電力、CPU動作クロックなどの計測結果 | |
平均フレームレート:59.5fps 最低(下位1%):55.0fps | 平均消費電力:5.83W 最大バッテリー温度:29.4℃ |
メガニケはDimensityがやや苦手とするタイトルで、Dimensity 9200(+)までは発揮される性能がSnapdragonに比べて明らかに悪かったのですが…大幅な性能向上を果たしたD9300(+)に加えて、MediaTekと近密な関係にあるvivoの調整の上手さもあって改善。
”全大核”を継承しつつ、シングル性能の向上やメモリキャッシュ量の増加で正統進化を果たしたDimensity 9400では、Snapdragon 8 Gen 3や8 Eliteと並ぶ高水準の動作です。
原神(Genshin Impact)
Snapdragon 855・メモリ6GBクラスに推奨スペックが引き上げられた「原神(Genshin Impact)」での性能をテスト。
現在だと原神は中量級程度の負荷なタイトルです。オープンワールドタイトル相応にCPU性能が動作に影響します。
スメールシティ/夜蘭C1ランニングテスト(30分間) | |
フレームレートや消費電力、CPU動作クロックなどの計測結果 | |
平均フレームレート:60.1fps 最低(下位1%):57.0fps | 平均消費電力:4.47W 最大バッテリー温度:34.1℃ |
Snapdragon 8 Gen 2クラスで概ね快適に動作する原神は、Cortex-X4世代のSnapdragon 8 Gen 3やDimensity 9300以降だと横並びで、D9400や8 Elite世代では60fps上限にほぼ張り付きつつ、消費電力は平均5W以下で済むレベルに電力効率が改善しています。
ゼンレスゾーンゼロ(Zenless Zone Zero)
Snapdragon 888/Dimensity 8200・メモリ8GBクラスが推奨スペックな「ゼンレスゾーンゼロ(Zenless Zone Zero)」での性能をテスト。
ゼンゼロはCPU性能(特にシングルコア性能)に動作が依存している、CPUボトルネックと最適化の影響が大きめなタイトルです。
ルミナスクエア/ランニングテスト(20分間) | |
フレームレートや消費電力、CPU動作クロックなどの計測結果 | |
平均フレームレート:58.7fps 最低(下位1%):53.0fps | 平均消費電力:5.27W 最大バッテリー温度:32.4℃ |
ゼンゼロ(ルミナスクエア)はCPUボトルネック及び、キャッシュ構成やメモリクロックの影響が大きいため、より高クロックなプライマリコア・L2キャッシュが12MB×2構成なSnapdragon 8 Eliteがやや優勢。
60fps上限にほぼ張り付くSnapdragon 8 Eliteには僅かに劣る結果ですが、iQOO Neo10 Pro(Dimensity 9400)も依然として高水準の結果です。
崩壊:スターレイル(Honkai:Star Rail)
Snapdragon 855/Dimensity 1000・メモリ6GBクラスが、(一応)推奨スペックな「崩壊:スターレイル(Honkai:Star Rail)」での性能をテスト。
Ver.2.7以降、Snapdragon 8 Gen 2やDimensity 9300等の高性能なSoCを採用した一部のAndroid端末には、従来の756/763Pよりも高解像度な972/981Pが解禁され、今までも高負荷だったスターレイルが更にGPUスペックを要求するようになりました。
うちのテストでも972P以上をさっそく解禁…と行きたいところですが、SoCの設計が新しくなりすぎたSnapdragon 8 Eliteでは981Pがまだ解禁されておらず、今までの計測データとも比較できなくなってしまうため、8 Eliteで高解像度の解禁やオンパロスの負荷状況等が出揃うまでは、従来の解像度・テスト内容で計測します。
(CR²FSのようにアンチエイリアスをOFFにした状態でジャギー数を簡易的に確認した限り、Ver.2.7の高画質=Ver.2.6の最高画質です)
ピノコニー(黄金の刻)/黄泉 四相断我無双移動テスト(30分間) | |
フレームレートや消費電力、CPU動作クロックなどの計測結果 | |
平均フレームレート:57.3fps 最低(下位1%):51.0fps | 平均消費電力:7.15W 最大バッテリー温度:36.2℃ |
旧最高画質(7xxP)とはいえ、ハードウェアキラーなピノコニー(黄金の刻)+黄泉の秘技での移動テストで平均55fps・最低(下位1%)50fps以上の結果を残せるのは、Snapdragon 8 EliteとDimensity 9400の2つのみ。
ピノコニー(黄金の刻)クラスの重い負荷を掛ける場合、Cortex-X4世代のSnapdragon 8 Gen 3やDimensity 9300と比べても明らかな性能差を結果で示しており、特に最低フレームレート(下位1%)の伸び率は高いシングル性能とキャッシュ量増加の賜物です。
高解像度化&オンパロスで内容とデータを刷新する良いタイミングなので、今後のレギュレーション更新時にテスト内容も改善、CPUボトルネックは原神とゼンゼロに任せて、スタレはよりGPU側に振った内容にするつもりです。
エクスアストリス(Ex Astris)
アークナイツで有名なHyperGryphが贈る、Snapdragon 8 Gen 1/Dimensity 9200・メモリ6GBクラスが推奨スペックな「エクスアストリス(Ex Astris)」での性能をテスト。
スターレイル・ピノコニー(黄金の刻)に匹敵するレベルで、CPU・GPUどちらも高水準の性能を要求する重量級のタイトルです。
ドラン/貿易地域 ランニングテスト(25分間) | |
フレームレートや消費電力、CPU動作クロックなどの計測結果 | |
平均フレームレート:59.1fps 最低(下位1%):52.0fps | 平均消費電力:6.27W 最大バッテリー温度:36.4℃ |
Dimensityにもちゃんと最適化されたタイトルのエクスアストリスでは、Dimensity 9400(iQOO Neo10 Pro)がSnapdragon 8 Elite(OnePlus 13)をやや上回る結果に。
4タイトルの平均値
ゲームテストに共通で採用した4タイトルの平均パフォーマンス(フレームレート/消費電力)をまとめました。
OnePlus 13の記事で述べたように、Snapdragon 8 Elite vs Dimensity 9400の関係は、Raptor LakeとZen 4(非X3D)の競争に近く、ゲームタイトル次第で勝ったり負けたりの関係性です。(Cortex-X4世代のハイエンドとは安定感において明確な差がアリ)
モバイル向けのゲームは、依然としてCPUボトルネックの側面が強くGPUを使う場面が限られているため、基本的にはキャッシュヒット率の高いL2キャッシュが12MB×2と多く、プライマリコアが4.32GHzで高クロックなうえ2基構成なSnapdragon 8 Eliteが僅かに上回る場面が多いですが…大部分でD9400は8 Eliteと肩を並べるパフォーマンスであり、エクスアストリスのように上回る場面もあります。
Snapdragon 8 Gen 3 vs Dimensity 9300の時と同様に、自分の用途やゲームタイトルの有利・不利、最終的な製品価格を見てDimensity 9400・Snapdragon 8 Eliteを好みの方から選んで良いと思います。(どちらかが圧倒しているという訳ではないので)
その他:iQOO Neo10 Proのゲーム系機能
iQOO Neo10 Proは兄貴分にあたるiQOO 13同様、外部処理装置としてvivo自社開発のiQOO Q2チップを搭載しており、中国版のゲームであればゲームプレイ時にフレーム補間と自社アルゴリズムを利用した超解像機能が利用可能です。
グローバル版の原神でもQ2チップ経由の超解像を利用可能で、Neo9シリーズ(Q1)では高品質(900P相当)まででしたが、Neo10シリーズ(Q2)では専用の外部冷却を装備しなくても超高品質(1.5K相当)までアップスケーリング可能になりました。
PCレベルの画質を謳う通り、Q2で1.5K相当にアップスケーリングされた原神のレンダリング品質はネイティブ1080Pクラスで、Q1の900PやAndroid版のネイティブ(864P)よりも圧倒的に高品質です。(実際、WHYLABサンのレビューでは渲染分辨率:1080P)
realmeやOnePlus端末のネイティブ1.5K並に綺麗な品質で、元々の解像度よりもキャラクターの輪郭やオブジェクトの細かい部分が詳細に描画されており、”シャープネスフィルターもどき”だったPixelworks X7辺りの超解像を超える”真の超解像”と言えます。
Q2チップで1.5Kに超解像して、スメールシティ/夜蘭C1ランニングテストを計測してみると、Q2チップが超解像の負荷を担当してくれるおかげもありますが、8 Eliteと肩を並べる性能のDimensity 9400のおかげでアップスケーリング込みとはいえ、1080P相当の原神を平均60fps・約6Wで安定して30分間動作可能でした。
正式サポートやゲームツールからワンタップでの利用は中国版のゲームタイトルに限られますが…Q2チップでもQ1のように、androplusサンのadbコマンドで強制的にフレーム補間を有効化して、全てのアプリで補間させることも(一応は)可能です。
【https://gist.github.com/AndroPlus-org/8621dad2feda14b5ecc205a6a71318f4】
adb shell
gpid=`pidof -s (補間するアプリパッケージ名)`
settings put system gamecube_frame_interpolation 1:1:$gpid:60:120
settings put system gamecube_frame_interpolation_for_sr 1:1:$gpid:60:120
com.miHoYo.GenshinImpact | |
com.HoYoverse.Nap | |
com.HoYoverse.hkrpgoversea | |
com.miHoYo.bh3rdJP | |
com.YoStarJP.AzurLane | |
com.YostarJP.BlueArchive | |
com.YoStarJP.Arknights | |
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(私の方で試した限り)トリガーさせるコマンドがQ1とQ2で恐らく異なるようで3倍フレーム補間(48:144)のコマンドは受け付けず、30→60や60→120のコマンドのみ動作しました。(補間後のフレーム表示もベースの値から、補間後の値に変更)
Q1の最大3倍フレーム補間の場合と比べて中間フレーム数が減少してしまうため、Q2+上記のコマンドだとネイティブ60fpsよりも僅かに滑らかと言える程度…な印象で、AFMF(無印)とLossless Scaling(LSFG 3.0)くらい滑らかさに差があると感じました。
またiQOO 13同様にNeo10シリーズでは、ゲーミング寄りのスマホとして待望されていたバイパス充電機能「ダイレクト ドライブ電源」に対応。
ゲームツールから有効化することでバッテリーを介さず、iQOO Neo10 Proに直接給電してバッテリーへの負荷を減らしながらゲームプレイが可能になりました。
まとめ:正統進化
良い | ・ゲーミング寄りでもシンプルな外観&AGガラス ・質感の良い”インジウムワイヤープロセス”採用のプラスチックフレーム ・1-144Hz/1.5K対応、ハイレベルなVisionox F1発光材のディスプレイ ・6100mAhバッテリー、VFCP120W対応&PD(PPS)でも100W対応 ・iQOO Neoシリーズでも遂にバイパス充電”ダイレクト ドライブ電源”に対応 ・8 Eliteに匹敵、ゲーミングでは肩を並べる性能のDimensity 9400搭載 ・iQOO Q2チップによる1080P相当の原神、(一応)全アプリフレーム補間可能 ・vivo X200と同じNICEアルゴリズム&IMX921採用 |
微妙 | ・付属する充電器が日本人にとってアタリ・ハズレのあるガチャ仕様 ・コマンドでフレーム補間を有効化する場合、Q1チップよりもやや劣る…? |
元々かなり完成されていたNeo9シリーズから超音波式の指紋認証や大容量な6100mAhバッテリー、VM7→F1発光材のディスプレイやDimensity 9300(+)→9400の採用、VFCPだけでなくUSB PD(PPS)でも100W&バイパス充電に対応…と、Neo10 Proは全体的に期待通りの正統進化を果たした存在です。
ただ、個人的には正統進化したほぼ上位互換な存在だと感じる一方で、Neo9シリーズがかなり満足度が高い&Dimensity 9300(+)のインパクトが強かった分、Neo10 ProとDimensity 9400に対する印象が薄いというか、各社色々と豊作な状態かつNeo10(無印)も強力な存在なので、決定打にやや欠ける感じもします。
TSMC N3E世代のハイエンドであるSnapdragon 8 EliteとDimensity 9400を揃える・触れるという目的は達成したので、ひとまずは良しとします。
今から買うならNeo10系を推しますが…既にNeo9(S)ProやPro+を持ってる場合は急ぐ程ではないです。
コメント
ゲーム用と考えると重量増よりバッテリー増の方が良さそうですね
電力効率良いし、かなりゲームできそう
バイパス充電(ダイレクト ドライブ電源)もあるので、気兼ねなく使えますねぇ
ロケーション履歴があれば…!