ローエンド帯でよく見かけるUNISOC T606を採用しつつ、一足早くAndroid 15を搭載したBlackview Tab60 Proを頂いたので簡単にレビューします。
Blackview Tab60 Pro
スペック・仕様
Tab_60_Pro | |
OS | Android 15 |
SoC | UNISOC T606(TSMC 12nm FinFET) |
メモリ | 8GB(LPDDR4X) |
ストレージ | 128GB(UFS 2.1) |
ディスプレイ | 10.1インチ IPS LCD (1280×800/60Hz) |
サイズ・重さ | 242.7×161.5×8.5mm/543g |
バッテリー | 7700mAh(10W充電対応) |
カメラ | 8MP(メイン:GalaxyCore gc8034 1/4型) 5MP(フロント:GalaxyCore gc5035 1/5型) |
インターフェース | USB Type-C(USB 2.0/480Mbps) nanoSIM×2(microSDと排他) microSDカードスロット(2TBまで) |
オーディオ | ステレオスピーカー 3.5mmステレオミニジャック コーデック:AAC/SBC |
接続規格 | Wi-Fi 5/Bluetooth 5.0 |
防水・防塵 | – |
生体認証 | 顔認証 |
その他 | ・AllWinner A523なBlackview Tab60(無印)の上位版…? ・参考元:blackview.hk/products/item/tab60pro |
開封
Blackviewのマーケティング担当者=サンから2024/10/30辺りに「Tab60 Proを11月に発売するからレビューしない?」と連絡があり、Tab60 ProのSoCがUNISOC T606だったので「まぁ…せっかくなら」程度で受けました。
UNISOC系のSoCは興味がなくもなくもない…程度で、(個人的には)自分で買う気にはならない存在なので「試す機会が訪れてラッキー」の予定でしたが…(後述)。日本への到着が遅れたらしく…話を受けてから20日後、セール真っ只中にサンプル機の発送連絡が来たのは内緒です。
内容物は中華スマホやタブレットではお馴染みな一式装備セットです。
フィルムは搬送保護用の簡易的な物で、指滑りが微妙で傷付きやすいので別途用意した方が良いと思います。
パッケージ内容 |
・Blackview Tab60 Pro ・搬送保護用の簡易フィルム(貼付け済み) ・ACアダプター(10W) ・USB Type-A to Cケーブル ・SIMピン ・ケース ・マニュアル類 |
付属のケースはカバー側が磁力でくっついてスタンドになる、よくあるタブレット向けのフリップ式ケースです。
デザイン・外観
3色あるカラバリの内、グレーが送られて来ました。アルミ素材のメタリックなボディで質感はそれなりに良いです。
デュアル風…に見せかけたシングルカメラもカメラ部分の出っ張りがあまりなく、イマドキの無難なデザインといった感じで悪くないと思います。
主要なポート類は本体上部や左側面にまとまっていて、スピーカー部分は右側に配置されています。
Blackview Tab60 Proの重さは約554gでした。10.1インチでアルミ素材ボディなので軽量とは無縁で重めです。
OS:Android 15
Blackview Tab60 Proは最新のAndroid 15を搭載しており、特にアピールしている部分です。(というよりほぼAndroid 15搭載がメイン)
…で、肝心のAndroid 15ですが、Blackview Tab60 Proが搭載しているのは”ほぼ”カスタマイズされていない、俗に言う素のAndroidです。
確かに色々とAndroid 14比で追加された機能やデザイン的に変わった部分はあるものの、AOSP系のカスタマイズされていない方のAndroid 14ができなかっただけで…。
似たような機能は以前から他社UI等ではあった&意識的に目新しいと感じる部分はなく、素のAndroid特有の使いにくさは健在(相変わらずWi-Fiタイル&ダブルタップでON/OFF無し…)なので、Android 15である優位性は少ないうえに、BlackViewがカスタムしたUIのDokeOSの方が多機能です。
ついでに言えば、Blackview Tab60 ProのAndroid 15は荒削りな部分が多く、Android 14(QPR3)のPixel系のようにゲーム等のフレームレートを取得できないです。
担当者サン曰く「スケジュールの都合上、DokeOSではなくAndroid 15版を先行して販売した」らしく、Android 15ベースのDokeOSは来年リリース予定とのことで、Tab60 ProのAndroid 15は機能の実装などが調整途中なのかもしれません。見切り発車感は否めないですね…。
対応バンド・VoLTE
Blackview Tab60 Proはモバイルデータ通信にも対応しており、以下のバンドに対応しています。
4G | FDD-LTE:B1/3/5/7/8/19/20/28A/28B |
TDD-LTE:B38/40/41 | |
3G | WCDMA:B1/8 |
UQ mobileのSIMを入れてAPN設定後、問題なく通信・通話可能でした。GPSも搭載しているのでナビ運用も一応は視野に入ります。
ディスプレイ
Blackview Tab60 Proは10.1インチ・1280×800(WXGA)で60Hz駆動に対応する、IPSパネルの液晶ディスプレイを搭載しています。
この手のタブレットで頻繁に目にするディスプレイスペックで、価格とスペック相応の品質です。カラー設定がデフォルトだとかなり寒色寄りだったり、かなり光沢感のあるディスプレイで映り込みが目立ちやすいです。
WidevineセキュリティレベルはL1に対応。動画ストリーミングサービスで高画質な再生が可能です。
Type-Cポートと充電速度
Blackview Tab60 ProのUSBポートはUSB 2.0(480Mbps)です。2.0なのでデータのやり取りは基本クラウドかSDカードを使った方が良いです。
Blackview Tab60 Pro及び付属のACアダプターは10Wまでの充電に対応しています。
流石に7700mAhのバッテリーを10Wで充電するのは時間が掛かりすぎるうえ、10W程度ならACアダプターはコストカットで省いた方が良いレベルの代物です。
オーディオ
Blackview Tab60 Proは特にこれと言ったオーディオ関連の機能は無いです。スクリーンショット音も素の状態では消せません。
Blackview Tab60 Proはステレオスピーカーを搭載していますが、横持ち時限定でステレオになる”ほぼ”なんちゃってステレオスピーカーで、音質もやっぱり価格相応です。安価なタブレットによくある低音スカスカな音で、ざっくり「iPlay 50 mini Pro×2(物理)」といった感じ。
音質は価格相応で”微妙”ですが…音量自体はかなり大きくできるので、作業中にながら聴きで動画をラジオ感覚で流す程度なら使えます。
ベンチマークテスト
ミドルハイ・ハイエンド向けのベンチマーク内容とは別で、Snapdragon 8 Gen 1以下のローエンド~ミドルレンジ帯は軽量的な”lite版”のレギュレーションでテストします。(ミドルハイ以上向けVer.1.2と同様、lite版も少し調整して1.1化)
りとらいん:ベンチマークレギュレーション Ver.1.1(lite) | |
CPU性能 | Geekbench 6 CPU電力効率曲線 |
GPU性能 | 3DMark Wild Life Extreme GPU電力効率曲線 |
ストレージ メモリ性能 | CPDT Benchmark |
ゲーム性能 | 夜蘭C1ランニングテスト(15分間) |
星槎海中枢ランニングテスト(15分間) | |
【Blackview Tab60 Pro】 ・OS:Android 15(V1.0_A15_03_20241105V06) ・SoC:UNISOC T606 ・メモリ:8GB(LPDDR4X) ・ストレージ:128GB(UFS 2.1) ・動作モード:OS標準/指定無し | |
その他 | ・リフレッシュレート:各端末での最大値 ・ディスプレイ輝度:各テスト端末での50%固定 ・通信環境:Wi-Fi 5(5GHz接続)&機内モード |
消費電力や温度、フレームレートなどの測定には従来に引き続き、Scene 8(TOOLBOX-SCENE)のadb/rootモードを利用。
また、比較に使用した各端末の詳細やデータは興味があれば、りとらいん内の各レビュー記事を参照して下さい。
レビュー記事をまとめたカテゴリー
Tab60 ProのAndroid 15だとフレームレートの取得ができないので、今回はベンチマークのみです…。
(仮にやったとしてもUNISOC T606の性能的に、Allwinner A523~Helio G85の間くらいなゲーム性能)
Geekbench
Geekbench 6 | |
【UNISOC T606】 Cortex-A75(1.61GHz)×2 Cortex-A55(1.61GHz)×6 | |
シングルコアスコア:376 マルチコアスコア:1336 最大消費電力:4.51W |
CPU性能を計測するGeekbench 6の結果です。UNISOC T606を含めてGeekbench 6のスコアをいくつか比較したグラフは以下の通り。
マルチ・シングルどちらも、同じコア構成のHelio G85に近い程度の性能です。普通に使える程度なHelio G99の半分くらいのシングルコア性能なので、UNISOC T606は流石に現代水準だと「用途を絞る or 我慢すればギリ使える」程度の存在でしかないです。
いつも通り、最大スコア÷5/×4/+各SoC最小周波数の計5点(最大)でマルチスコアと最大消費電力を測定し、簡単な消費電力あたりの性能曲線を作成して各CPUのワットパフォーマンスを確認。(非rootなのでBlackview Tab60 Pro等は1点)
縦軸がスコア・横軸が消費電力で、基本的に電力性能曲線は測定点・曲線(カーブ)が左上になるほど良く、右下になるほど悪いです。
性能的にはHelio G85(6W)相当ですが、電力効率的にはUNISOC T606の方が同程度の性能で4.5Wなので若干マシです。
3DMark
3DMark Wild Life Extreme | |
【UNISOC T606】 Mali-G57 MP1(650MHz) | |
Overall score:121 最大消費電力:3.52W |
GPU性能を計測する3DMark Wild Life Extremeで、UNISOC T606はスコア333でした。比較グラフは以下の通り。
Helio G85はおろか…最悪な存在のSnapdragon 4 Gen 2よりも低く、現代のミドルクラス相当なSD870の1割程度でAllwinner A523と同等のGPU性能しかないので、基本的にゲームプレイには使えません。(軽い2D/レトロゲーのエミュレーター用途が限界)
GPUの電力効率もSnapdragon 4 Gen 2レベルで悪いです。Mali-G57”MP1”かつ古いTSMC 12nmなので仕方がない部分です。
CPDT Benchmark
CPDT Benchmarkでストレージ・メモリ性能をテスト。テストのファイルサイズは1GB、BufferingやCacheはOFFの標準設定です。
CPDT Benchmark | |
【シーケンシャル性能】 書き込み:121.93MB/s 読み込み:173.43MB/s | |
【ランダム性能】 書き込み:15.44MB/s 読み込み:14.40MB/s | |
【メモリコピー性能】 2.29GB/s |
Blackview Tab60 Pro(UFS 2.1)のストレージ性能は、シーケンシャルの時点でeMMCに劣る程度なので遅めです。UNISOC T606がUFS 2.1/eMMC 5.1までのサポート、かつCPU性能が低めなのでストレージ速度もそっち側に引っ張られます。
ランダム性能は腐ってもUFSといった感じで、eMMCなmoto g24にはギリギリ負けずに耐えました。eMMCを載っけられるよりは体感的にもマシです。
メモリコピー速度は”りとらいん内で”計測した中で下から3番目の遅さです。(ちなみにビリは、MT8168なUATTAB001の1.05GB/s)
あとがき
Blackview Tab60 Proは10.1インチクラスの廉価帯によくあるスペックのタブレットで、これといった特徴は「Android 15搭載」程度です。
「Android 15を搭載したこと以外、特徴的な部分は特にない」というのが個人的な感想ですが、そのAndroid 15の実装も荒削・調整途中な印象でBlackViewのカスタムUI「DokeOS」比で機能性は劣り、「最新のAndroid 15」を名乗れる以外の優位性は無いです。
腐ってもメモリ8GBかつHelio G85相当(CPU)のUNISOC T606搭載なので、Unisoc SC9863AやAllwinner A523、未だに販売されるクアッドコア系SoC搭載な1~2万円台のタブレットよりは我慢しなくて良い動作感かつ、BlackView製でビルドクオリティがマシではある存在です。
12/3~22日までセールが開催されている他、読者サン向けに13%OFFのクーポンコード「4UP3VAWT」を頂いています。セール+クーポン適用後は15000円前後でBlackview Tab60 Proを購入できるようです。
コメント
レビューお疲れ様でした。
個人的な感想にはなりますが、定価で二万円台、クーポン使用で一万五千はちょっと割高感がありますね。
Amazonでも二万円台ならG99やSD6gen1搭載タブレットが買えますし、T606搭載でほぼ一万円のタブレットもあったような気がします。
とはいえ軽い用途なら使えますし雑に使い倒すのなら逆におすすめかも?しれませんが….
一般公開前を担当者に挙げた時点で「お手柔らかに…」と言われてしまったので…。(向こうの心情が分からなくもない)
試用での感想と事実だけ書いて「おすすめ」「コスパ」とかを一言も入れてない&比較がHelio G85とかな時点で、読者サンに色々と察して貰うしかないです。
性能はお察しだけど充電速度が最大USB PD10Wなのはかなり使い勝手悪そう
更にSD870の1割程度のGPU性能はもうあらゆる用途で使うのが辛そう…
想像通りな性能でT606の立ち位置が良くわかりました。
ちょっと自分には合わないかな
うちの大半の読者サンにはまぁ…合わないかと。
PR記事だけ依頼されるよりは実機提供のがマシなのと、UNISOC系を触ったことが無かったので、試せる機会があるならせっかくだし…程度の認識です。