以前から「3.5万円以上だと微妙だけど、3万円くらいなら悩む”か”なぁ…」…ってことで、Ryzen 7 3700XからAM4最後の換装に買うかどうか迷っていた5700Xが、3万円台に値下がりしたので欲に負けて、買う予定はなかったのに買ってしまいました。
Ryzen 7 5700Xを3700Xと軽く比較しながら、簡単にレビューします。
スペック・仕様
CPU | Ryzen 7 5700X |
アーキテクチャ | Zen 3(コードネーム:Vermeer) |
プロセス | TSMC 7nm(CCD)+GF 12nm(IOD) |
プラットフォーム | ソケット:Socket AM4 チップセット:AMD 300/400/500 |
コア・スレッド数 | 8C16T |
ベースクロック | 3.4GHz |
ブーストクロック | 4.6GHz |
キャッシュ | L1:512KB L2:4MB L3:32MB |
対応メモリ | DDR4-3200(2ch) |
PCI Express | PCIe 4.0(使用可能レーン×20) |
TDP | 65W |
開封・内容物
10月の月末に投げ売りなのか突如としてRyzen5000番台の価格が下落し、35000円台で推移していたRyzen 7 5700Xも3万円前半、ショップによっては3万円を切る価格で購入できるみたいです。
11/1にソフマップで30800円で買いました。2年半前に先代の3700X(並行輸入品)を尼で買ったときより8000円も安い。(2023年以降はもっと安く買えます)
Joshinで買えば500円クーポン配布してたのでもっと安く買えたのに…というのは後の祭り。3700XのBOX比で半分位のサイズの5000シリーズ共通パッケージ。
中身はいつものRyzenシリーズの奴です。
同じTDP65Wモデルの5600Xや5700Gでは、Wraith Stealthとはいえクーラー付属なのに5700Xでは付属しません。冷却・静音性が悪いので個人的には要らないですが…何故、一応でも付かないのか。
過去のRyzen2000(無印)モデルみたいにWraith SPIRE(RGB)とかWraith MAXを、2022年投入の5000シリーズでも付属してくれればZen 3の廉価モデルを待ってたユーザーもにっこりだったんですが、まぁ良いです。
何となくで3700Xと5700Xを並べて撮影。箱のデザインはどっちも好きです。
Ryzen 7 5700Xの基本動作
Ryzen 7 5700XはZen 3アーキテクチャを採用する8コア16スレッド、ベースクロック3.4GHz、最大ブーストクロック4.6GHzでTDP65WのCPUです。
先代のZen 2アーキテクチャを採用する3700XからZen 3になったことで、従来の4×2構成から純粋な8×1構成のCCXへ改良、1コアがダイレクトにアクセス可能なL3キャッシュが16から32MBへ倍増、様々な内部の改良によりZen 2比で19%もIPCが向上しています。
Zen 2とZen 3のCPUを同じクロックで動作させた場合に、約1.2倍もの性能差です。Zen+(12nm)からZen 2(7nm)でのIPC15%UPから更にジャンプアップしています。
また、同じくZen 3アーキテクチャを採用する8コア16スレッドかつTDP65Wではあるものの”Cezanne(APU)”がベースでモノリシックの5700Gとは違い、5700XはフルスペックのZen 3”Vermeer”ベースかつCCD+IODのチップレット構成です。
公称仕様値はTDP65Wですが、PPT・TDC・EDC LimitはデフォルトでPPT76W・TDC60A・EDC90Aでの動作が許容されています。
CPUに対してクーラーの冷却能力が十分な場合はPPT76W制限にて動作し、自動クロックアップ機能(XFR 2等)が働きます。
Ryzen3000シリーズのTDP65WモデルはPPT88Wでしたが、5000シリーズでは76Wと更に絞られています。
HWiNFOで、Ryzen 7 5700XのCINEBENCH R23実行時クロックを確認すると、シングルスレッド動作では4.6GHzより上の4.65GHz前後で動作するコアがありました。タスクマネージャー上では4.6GHz表示でした。
負荷100%時のマルチスレッド動作では、全コア4GHz前後で動作していました。タスクマネージャー上では3.98GHzで認識していました。
ベンチマークテスト
構成
ベンチマークテストなどを行う、メインPCのシステム構成(スペック)です。ワッパ重視の2022年”The・ミドルクラス”といった構成になります。
CPU | Ryzen 7 5700X(PPT76W) Ryzen 7 3700X(PPT88W) |
CPUクーラー | AMD Wraith PRISM |
マザーボード | ASRock B450 Steel Legend(P4.30) |
メモリ | Patriot Viper Steel(DDR4-3200/16-18-18-36 1.35V 8GB×4) |
GPU | ASRock Radeon RX 6600 XT Challenger D 8GB OC |
SSD | メイン:Samsung 980 1TB(PCIe 3.0×4) サブ:Samsung 860 EVO 1TB(USB Type-C 3.2 Gen 2) |
電源ユニット | 650W(80+Bronze) KRPW-BK650W/85+ |
ケース | JONSBO U4 |
OS | Windows 11 Pro 64bit(22H2) |
ドライバー | AMD Software Adrenalin 22.10.3 Optional |
ディスプレイ | LG 34WL750-B(3440×1440@60Hz) |
備考 | 電源プラン:Ryzen High Peformance AMD Smart Access Memory:有効 CPUクーラー:Lowモード・ファン回転数50%固定 CPUグリス:Thermalright TF8(13.8W/m-k) |
B450 Steel Legendは、2022年投入のRyzenシリーズもサポートするAM4 AGESA Combo V2 PI 1.2.0.7のP4.30に更新。よく検証で見かけるバラックやベンチ台の状態ではなく、PCケースに入れた状態でテストしてます。
ケースは、デザイン全振りで裏配線スペースすら無い窒息系のJONSBO U4、CPUクーラーは3700X付属のAMD Wraith PRISMをLowモードかつファン回転数50%固定にした熱が逃げにくく温度上昇しやすい、ある意味CPUにとっては劣悪なテスト環境です。
後述しますが…TDP65W(PPT88W)の3700Xでピーク時最大90℃に到達する環境って言えば、大抵の自作erさんは「3700Xで90℃?あっ…(察し)」ってなると思います。
CINEBENCH R15
クアッドコア世代がターゲットの定番3Dレンダリングベンチマークソフト、CINEBENCH R15ではマルチスレッド2271cb、シングルスレッド252cb、OpenGLでは289.85fpsでした。
3700X(PPT88W)比で5700X(PPT76W)は、シングル性能で約25%(1.25倍)、マルチ性能でも約11%(1.11倍)の向上です。
シングルは圧巻の25%もの向上、またクロックの差を考慮してもPPTが76Wへ12Wも絞られた状態でマルチ性能が10%以上性能が伸びているのは凄いです。IPCの改善がしっかり効いてます。
OpenGLのfpsはぶっちぎりで凄まじい伸びですね。同じRX 6600 XTなのに3700Xと5700Xで約61%(1.61倍)も差が開いてます。Zen 3が出た当初から言われている通り、Zen 2以前とは一線を画すシングルとfpsの伸び幅です。
CINEBENCH R23
メニーコアやMacOSとWindowsのクロスプラットフォームに対応し、OpenGLテストが廃止されCPUテストに特化した最新バージョンのCINEBENCH R23ではマルチスレッド13606pts、シングルスレッド1528ptsでした。
3700X比で5700Xはシングル性能で約19%(1.19倍)、マルチ性能で約12.6%(1.126倍)の向上です。
傾向はR15とほぼ同じ具合です。5700Xのマルチ性能はZen 2”Matisse Refresh”のTDP105Wで4.7GHz駆動の3800XTと同等か少し上程度です。
7-Zip
圧縮・解凍の定番ソフト7-Zipに付属している内蔵ベンチマークでは、圧縮結果が85.334GIPS、展開結果が106.248GIPSでした。
MIPSのデータは比較的多いのですが、新しい(?)GIPSはまだ少なく比較対象が3700Xだけになりますが…圧縮では約18%、展開では約15%程度処理速度が改善しました。
動画エンコード(Aviutl)
国内で一定の人気と知名度がある動画編集ソフトのAviutlで、rigayaさんの拡張出力プラグインx264guiExとx265guiExを使用して動画エンコードした際に掛かった時間を比較してテストします。
動画データは、原神のフレームレート計測10弱分のFHD解像度の録画ファイルを1920×1080p/30fps/18001フレーム(10分)、設定のプリセットは指定無しで出力させました。
3700Xの228秒(3分48秒)から5700Xでは214秒(3分34秒)…と、14秒程度短縮しているものの、x264guiExだとあまり大きな差が出ず。
逆に、より高圧縮なx265の出力では65秒も短縮しています。個人的には良くて35~40秒くらいの短縮だと予想してましたが、良い意味で裏切られました。
Zen 2の時点で、Zen+までのRyzenシリーズで致命的だったAVX2命令セットでの128bit×2による疑似256bit演算から、純粋な256bit演算化したことでスループットが向上し、苦手としていたx265のエンコードもintel CPUと同等にまで高速化していましたが…Zen 3ではZen 2から更に磨きがかかっています。
3DMark Fire Strike
Direct X11 APIのゲーム性能を図るグラフィックスベンチマーク、3DMark Fire StrikeではFire Strikeスコア25311、物理スコア(Phisics score)27016でした。
Fire Strikeスコアでは、GPUが共通のRX 6600 XTなので3700X比で5%の向上に留まりました。CPU性能が重要な物理スコアではZen 3の性能が発揮され、16%スコアが向上しています。
3DMark Time Spy
Direct X12 APIのゲーム性能を図るグラフィックスベンチマークの3DMark Time Spyでは、Time Spyスコア9778、CPUスコア10495でした。
Fire Strikeとは異なりTime Spyでは、Time Spyスコアの差は1.7%程度で誤差に近い範囲です。一方で、CPUスコアはやはり他のベンチマーク同様に向上していて、9.1%程度伸びました。
ファイナルファンタジーXIV 暁月のフィナーレ
Direct X11動作の国内では定番となっているベンチマーク、ファイナルファンタジーXIV 暁月のフィナーレでは、最高品質1920×1080(ウィンドウ)で20298、2560×1440(ウィンドウ)で14636でした。
RX 6600 XTは、RDN世代最上位のRX 5700 XTやRTX 2070と同程度のGPUのため3700XでもGPUに対しボトルネックにはなりませんが、やはりZen 3でシングル性能の底上げによるZen 2との差は大きく、FHD解像度では12.6%、WQHDでも5.5%程度の差が生じました。
FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION
Direct X12動作の比較的重いタイトルに分類されるFINAL FANTASY XV WINDOWS EDITIONのベンチマークでは、高品質1920×1080(ウィンドウ)で9633、2560×1440(ウィンドウ)で6827でした。
Time Spyに傾向は近いですが…最も3700Xと5700Xで差が小さかったベンチマークで、FHDで1.5%、GPUが先にボトルネックになるWQHDでは誤差範囲の結果となりました。
RTX 3080やRX 6800以上のハイエンドクラスであれば差が生じるかもしれませんが…ミドル~ミドルハイクラスのグラフィックボードでFF15のような重いタイトルの場合はZen 2と Zen 3の差よりもGPUを重視した方が良いです。
よく言われている高解像度や重量級タイトルだと6コア以上のCPUなら性能差はそこまで重要じゃないって奴ですね。
消費電力と温度
HWiNFOから、Ryzen 7 5700Xと3700X”CPU単体”での消費電力や温度などをソフトウェア読みで測定します。
CPUの消費電力と温度
アイドル時はWindows 11起動直後から10分間システムを放置した際の平均値、高負荷時はCINEBENCH R23でMinimum Test Duration(MTD)を10分間マルチスレッドで実行した際の最大値を計測しました。
CPUの消費電力は、Ryzen 7 3700X比でアイドル時が6W、高負荷時で13W程度減少。3700XはPPT88Wのため、88W制限下において概ね最大で90W前後消費しますが、5700Xは76WのためPPT制限の値とほぼ同様の消費電力で動作した結果です。アイドル時は大差無いです。
一応、CPU以外全く同じシステム・設定で5W減少しているので、差異があるならZen 2のTSMC 7nm(N7FF)とZen 3の改良版7nm(N7P…?)辺りが起因してる可能性が…?港の噂を含めた推測でしかないですけど。
特筆すべきはCPU温度で、アイドル時で11℃、高負荷時で21℃前後…と大幅に3700X比で5700Xの温度が低下しています。
前述の通りJONSBO U4+AMD Wraith PRISM(Lowモード・ファン回転数50%固定)とかいう、クソみたいな冷却構成のため、いくらWraith PRISMがTDP105W対応のリテール品にしては良いクーラーでも、回転数をかなり絞った状態かつ窒息ケースでは当然、PPT88Wの3700Xに10分間100%負荷を掛けたら耐えきれず91℃まで上昇します。
ですが、5700XはPPT76Wのため76W前後の消費電力でしか動作しません。そのため必然的に発熱量が少なく、クソみたいな冷却構成でも65℃前後で頭打ちになり、最終的に10分間で70.6℃までしか上昇しませんでした。
またアイドル時でもZen 2系のCPUはデフォルト電圧がやや高めの1.3~1.4V程度で動作するため温度が上がりやすかったのですが、Zen 3ではZen 2より低めなのが起因してか、5700Xは低負荷でも3700Xより冷えやすいです。
同じ8コア16スレッドかつTDP65WのCPUとはいえ、シングルスレッドやゲームでの性能は3700Xと別物レベルですが、消費電力や温度といった部分での扱いやすさも5700Xは圧倒的です。
クソみたいな冷却構成でコレなので、エアフローが適切なケースならAMD Wraith PRISMやWraith SPIREで、定格(PPT76W)のRyzen 7 5700Xは十分に冷えます。市販のミドルクラスの空冷なら余裕だと思います。
ゲームプレイ時の消費電力と温度
ゲームプレイ時のテストにはファイナルファンタジーXIV 暁月のフィナーレベンチマークを使用。最高品質1920×1080(ウィンドウ)実行時の平均消費電力とCPU温度を計測します。
タイトルにもよりますが、ゲームプレイ時はあまり3700Xと5700Xで消費電力などに大きな差は生じなかったです。
アーキテクチャや内部構造が変わったとはいえ、4.4GHzから4.6GHzにブーストクロックが増えた分、ほんの少しだけゲームプレイ時での消費電力は増えてます。ゲーム時における性能の上がり具合からすれば妥当だと思います。温度についてはほんの少しだけ冷えるように。
ECOモードにしたり、PPTを弄ってみる
定格のPPT76Wでも十分消費電力と温度は低く、特に不満もないですが…ECOモードやPPTを弄ったときの挙動が気になったので、BIOSの設定からPrecision Boost Overdrive項目でPPTを変更してみます。
PPT変化時の性能:CINEBENCH R23
PPTを3700Xと同じ88Wから、ECOモード時に制限される60Wまでそれぞれ変化させた場合のCINEBENCH R23のマルチ性能で比較します。
5700Xを3700Xと同じPPT88Wにすると4%程度伸びて14201ptsまでアップ。PPT76WからTDPと同じ65Wに制限した場合、4%程度低下し13078pts、ECOモード時のPPT60Wでは8%程度低下して12566ptsでした。
3700XはPPT88Wでも12076pts程度だったので、PPT60WのECOモードであっても5700Xは4%程度、定格の3700Xより性能が上です。
PPT変化時の消費電力と温度
MTDを10分間マルチスレッドで実行した際、それぞれの最大消費電力と温度の結果はこんな感じです。
5700XをPPT88Wにすると、当然88W制限下で動作するので3700Xと同じく90W前後電力を消費するようになります。ただ88Wの場合でも3700Xと違い、最大温度は10分間でも約75℃程度で、PPT76Wから5℃前後の上昇で済みました。やはり3700Xより圧倒的に冷えやすくなってます。
PPT65Wでは概ね66W前後の電力消費で、温度についてはクソみたいな冷却構成でも60℃を下回って59℃前後、ECOモードだと57℃前後まで下がりました。
定格でも十分冷えてますがPPTを65W以下に制限すると、回転数を絞った90mmファンの空冷クーラーですら60℃以下です。5800Xと同じ8コア16スレッド、フルスペックでCCX1基のZen 3ですよ…これ。
ワットパフォーマンス
CINEBENCH R23のマルチ性能スコアをそれぞれPPT制限時の最大消費電力で割って、簡易的ですがワットパフォーマンスを割り出してみます。
PPT | R23マルチスコア | 性能 | 消費電力 | 電力辺りの性能(pts) |
88W | 14201pts | 104% | 90W | 157pts |
76W(定格) | 13606pts | 100% | 77W | 176pts |
65W | 13078pts | 96% | 66W | 198pts |
60W(ECO) | 12556pts | 92% | 61W | 205pts |
3700X(88W) | 12076pts | 87.4% | 90W | 134pts |
最も電力辺りの性能(pts)が良かったのは、当然ながらECOモードのPPT60W制限下です。Zen 4の7700Xや上位モデルの5950X程ではないですが、5700Xもある程度のところまではPPTを絞るだけワットパフォーマンスが良くなります。
逆にPPT88Wに緩めた場合は悪化。3700Xよりは向上してますが…PPTを弄っただけだと定格から4%しか伸びてないのであんまり旨みはないです。
ECOモードはマルチ性能が8%前後低下しますが、最も効率的には優れていて定格から更に扱いやすくなります。PPT65Wだとマルチ性能4%前後の低下で収まり、定格から更に消費電力が11W前後、CPU温度も11℃前後低下します。
あと、従来のRyzen CPUと同じくECOモードなどPPTを制限した場合でも、シングル性能やゲームプレイ時の性能は殆ど低下しないです。パッケージ電力を制限してるだけですからね。誤差範囲ですが…定格でFF14ベンチを実行したときより、高いスコアが出ることも稀によくあったりします。
まとめ:めちゃ良いけど、出てくるのが遅すぎた
良い | 悪い |
・フルスペックのCCX1基”Zen 3″でTDP65Wかつ”X”モデル ・”純粋な”8コア16スレッドCPU ・Ryzen 7 3700Xからシングル性能1.2倍、マルチ性能1.1倍程度向上、ゲーム性能もZen 2比では圧倒的 ・3700Xから性能が向上しつつ、PPT76Wかつ改良版TSMC 7nmで定格時の消費電力が低下 ・最新世代と比較しても見劣りしない優れたワットパフォーマンス ・3700Xとは別次元の扱いやすさと感じるレベルで低発熱(AMD Wraith PRISM等で十分冷える) ・BIOSが対応していれば殆どのAM4マザーで使用可能 ・旧型マザーでVRMフェーズ数が少ない場合でも、6~8フェーズあれば十分に動作 ・定格・ECOモード・PPT任意・疑似5800X…と運用の選択肢が豊富 ・値下がりでコスト・性能・扱いやすさのバランスがとても良く”なった” | ・TDP65WモデルなのにCPUクーラーが付いてこない ・モノは良いけど出てくるの遅すぎて若干の今更感(アーキテクチャは2年前のZen 3) |
Ryzen 7 3700Xの時点でi9 9900Kに匹敵する性能でありながら省電力で、ゲーム性能が劣る以外は弱点も少なく特に不満が無かったですが…3700Xの弱点がほぼ無くなって、シングルは1.2倍、マルチ性能も1.1倍でありながら意味不明なくらい扱いやすいCPUなので、完全上位互換の5700Xにケチのつけようが無いです。
5700Xは定格のPPT76Wでも十分省電力・低発熱で、既存のRyzen 7ユーザーであればAMD Wraith PRISMやWraith SPIREを流用しても75℃以下で運用可能なまでの扱いやすさになってます。
ワッパに優れるECOモードにしてもマルチ性能が8%程度低下するだけで済みますし、PPTを自分で絞ってバランスを取っても良し、効率は悪化しますが…PBOで設定&リミットを解除して相応のクーラーを用意すれば疑似的な5800Xにもできます。
先発組から2年遅れてリリース&市場投入当初は4万円台だったので、DDR5世代が成熟するまでこのままZen 2で様子見を決め込む予定でしたが…3万円前後で売られてたら我慢できねぇです。換装してほぼ満足です。
CPUで4万円台&新規で組むならi5 12600K辺りにしますが、既にAM4環境が揃っていて”CPUを換装するだけ”なら、3万円前後に落ちてきたRyzen 7 5700Xはぶっちぎりで良い選択肢だと思います。
3700Xより扱いやすいので、設計が古い300/400チップセットのマザーでもVRMが6フェーズくらいあれば実用上は問題ないです。3700Xの時点で、6フェーズのB450 Steel Legendでも問題なかったですから…。
強いて欠点を挙げるなら、CPU性能は大体i5 12400(6C12T)と12600K(10C16T)の間くらいかつアーキテクチャは2年前のZen 3なので、Ryzen 7 3800X以下のAM4 CPUユーザーのアップグレード用って感じで最新世代からは少し見劣りします。
あとはVermeerやCezanneベースのTDP65Wモデルの他RyzenはWraith Stealthとはいえ、CPUクーラー付属なのに5700Xでは付属してないです。5600″X”や5700″G”では貧弱クーラーの癖にWraith Stealthを付けておいて、5700″X”で付属しないのは意味不明です。