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名機「POCO F3」で確認する、2年目を迎えたSnapdragon 870の性能と次世代の進化

カスタムし易いAndroidかつ動作比較などに使うための新しいSnapdragon 865(870)搭載端末が必要だと感じ、物色してXiaomiが2021年にリリースした名機「POCO F3」を今更購入しました。

Snapdragon 865系自体は、ZTE Axon 10 Pro 5GやLG V60 ThinQ 5Gで触れて来ましたが…片方はAndroid 10止まり、片方は実用性能がSnapdragon 855以下で失敗しており、かの名機なら確実と思い三度目の正直です。

せっかくなので試運転も兼ねたPOCO F3の簡易レビュー、Snapdragon 870と次世代の性能を軽く比較します。

スペック・仕様

Xiaomi POCO F3(M2012K11AG)
OSMIUI 12 for POCO(Android 11ベース)
SoCSnapdragon 870(TSMC 7nm)
メモリ6/8GB(LPDDR5)
ストレージ128/256GB(UFS 3.1)
ディスプレイ6.67インチ AMOLED
(1080×2400/60・120Hz/Gorilla Glass 5)
サイズ163.7×76.4×7.8mm
重さ196g
バッテリー4520mAh(Mi Turbo Charge 33W/PD 3.0/QC 3)
カメラ48MP(メイン:Sony IMX582)
8MP(超広角:Sony IMX355)
5MP(テレマクロ:Samsung ISOCELL 5E9)
20MP(フロント:Samsung ISOCELL 3T2)
インターフェースUSB Type-C(USB 2.0)
nanoSIM×2
オーディオステレオスピーカー(アンプ:CS35L41)
Dolby Atmos
Hi-Res Audio(88200~384000Hz)
接続規格Wi-Fi 6(802.11a/b/g/n/ac/ax:2.4/5GHz)
Bluetooth 5.2
NFC
セキュリティ側面指紋認証/顔認証
備考Xiaomi Redmi K40=POCO F3=Mi 11X(地域別のリネーム品)
(スペック参考元:mi.com/GSMArena/NANOREVUEW.NET)

開封・外観

ブートローダーアンロックが可能なSnapdragon 865(870)機として、他にOnePlus 8(T)やmoto g100の中古、京東でRedmi K40S(POCO F4)の輸入を検討していましたが、今更870に3万円以上使いたくないので…イオシスのAランク品(端末のみ)を26800円で購入。

Xiaomi端末としてPOCO F3は世界中でとても人気で知名度もあり、国内でも散々レビューされたうえ私も前に姉妹機のXiaomi Mi 11i(K40 Pro+)で、外観やら付属品に触れているのでその辺りの詳細は割愛。

Aランク品で最安がNight Blackだったので黒になりました。Aランクなので傷は無く状態”だけは”良いです。艶のあるガラス背面で反射や指紋の目立ちが酷いですが…ピアノブラックの様でとても綺麗です。

カメラレイアウトも含めて、Redmi K40シリーズはデザインが洗練されていて気に入ってます。K50以降はどうしてああなったのか。

アクセサリー類も多く、Amazon等のECサイトで安く手に入りやすいのも魅力の一つ。2枚入りのガラスフィルムと今までMi 11iで使っていたケースをPOCO F3へお下がりにして、Mi 11iに新しい物を用意しました。

ソフト・ハードウェア

OS:MIUI Global(For POCO)

POCO F3は出荷状態では、Android 11ベースのMIUI 12 for POCOをプリインストールしていました。現在ではAndroid 13ベースのMIUI 14へアップデート可能。

Global版のMIUIなので中国版よりは使い勝手含めてマシです。VoLTEに対応していますが、POCO F3だと開放するおまじないが必要。開放後はKDDI系のpovo2.0でもB26/28辺りを掴んで通信が可能でした。

ディスプレイ:Samsung E4 AMOLED

POCO F3は6.67インチのフラットで、Samsung製E4発光材のAMOLEDディスプレイを採用。

Redmi K40シリーズ共通のディスプレイでDisplayMate A+評価、フロントカメラは2.76mmでとても小さく目立たない部類のパンチホール型が配置されています。中華製のデジタルマイクロスコープで撮影できたサブピクセルの配列は、ダイヤモンドピクセル配列です。

60/120Hz固定のリフレッシュレートでタッチサンプリングレートは360Hz、アスペクト比は20:9、PPIは395、HDR10+にも対応しています。内部的には90Hz駆動も可能でゴニョゴニョすれば利用できます。

ディスプレイの色彩設定は、従来のPOCO(Redmi K)シリーズと同じようにRGBや色温度も調整可能です。

AIによるHDR補正やビデオフレームを補間して滑らかに再生するMEMC機能に対応しており、ビデオツールボックスから設定してYouTube等にも適用可能です。低解像度のアップスケール補正機能は使えません。

POCO F3のWidevineはL1です。高画質な動画ストリーミング再生が可能です。

充電:Mi Turbo Charge 33WとUSB PD 3.0・QC 3.0に対応

POCO F3はXiaomi独自の充電規格”Mi Turbo Charge 33W”での充電に対応しており、(本来は)純正のACアダプターとケーブルが付属しています。多分、姉妹機のMi 11i(K40 Pro+)とほぼ同じ内容の筈です。

前述の通り33W対応のアダプターで試験出来ない(所有しているが海外プラグ)ので、手持ちのXiaomi系ACアダプターでは高品質な、Redmi K60 Proに付属していた窒化ガリウム(GaN)採用の”MDY-14-ED”を使い簡易テスト。

最大120W(20V6A)に対応するMDY-14-ED+USB Type-A to CケーブルでPOCO F3を充電したところ、USB PD(PPS)のネゴシエーションがされ、画面上にMi Turbo Chargeが表示されました。

26V6Aまで計測可能な”YK003C(AVHzY C3)”とSHZUKU TOOLBOXを使って簡易計測したところ、POCO F3をバッテリー残量5%から95%までMi Turbo Charge 33Wで充電した場合、約一時間掛かりました。

最大電圧・電流・出力は約9.4V2.8A=24Wで、電圧は8~9V前後で安定しており、電流は最初の5分だけ2.5~2.8A、その後は1.8A前後で推移してバッテリーが90%を超えた段階で1A前後まで降下しました。

汎用的なUSB PD対応ACアダプターの場合も確認すると、PowerIQ 3.0(Gen2)対応”Anker PowerPort Atom III 65W Slim”の20Wポートで充電したところ、USB PD 3.0(PPS)のネゴシエーションがされていました。

Redmi K40シリーズは、サードパーティ(市販品)のACアダプターでUSB PD 3.0(PPS)で出力する場合、3.3-16.0・21.0VのPDOを無視するので、隣の45Wポートでは5V3A=15WのUSB PD(Fixed)に落とされます。

既に売却してしまって検証不可ですが…前にMi 11i(K40 Pro+)でテストした様に、3.3-11.0V3AのPDOに対応したGoogle 30W辺りのACアダプターでないと、POCO F3に27WのUSB PD 3.0(PPS)で出力できません。

手持ちの端末がXiaomi系で固まっているなら無問題、USB PDも3.3-11.0V3A対応品を用意すれば27W対応、しない場合でも18~20WのUSB PDやQCが利用可能で、何処かの独自規格しか対応しないメーカーよりはマシです。

私では足元にも及びませんが…もっと詳しいPOCO F3の充電に関する情報が知りたい場合は、HanpenBlog=サンが検証されています。

オーディオ

サウンド効果

POCO F3は従来のXiaomi製品同様に、サウンド効果としてDolby Atmosに対応しています。

Dolbyエフェクトとしてプリセットやグラフィックイコライザーから調整が可能で、他社の端末で有りがちなDolby Atmosが強制的に有効化されてOFFにできない…といったこともありません。

Dolby Atmosと排他利用かつ3.5mmステレオ出力限定ですが…Miサウンドにも対応しており、イヤホンに合わせた調整やイコライザー設定が可能な他、音の好みに合わせたイコライザーカーブを作成可能なパーソナライズサウンド機能も使用できます。

ハードウェア

POCO F3は外部DACを搭載しないため、Snapdragon 870に統合されている最大384kHz(32bit)に対応可能な”Qualcomm Aqstic audio codec WCD9385”を使用します。

このためSoC経由で処理を行い、DAC無しのアナログ式変換アダプターの使用も可能です。

独自エンジン採用の音楽プレイヤー”Neutron Music Player”で、POCO F3の再生可能な周波数を確認します。デフォルト設定でスピーカーは48000Hz(16bit)、Line-out(イヤホン)出力では44100Hz(16bit)固定でした。

ドライバー設定からHi-Res系の出力を許可すると、スピーカー・Line-out(イヤホン)出力両方で44100Hz~384000Hzまで選択可能になりました。WCD9385をほぼフルスペックで使用可能みたいです。

また、POCO F3はスピーカーの音質が良好な機種で採用の多い、Cirrus Logic製のモバイル向けモノラル・クラスDアンプ”CS35L41”を搭載しています。

ステレオスピーカーの音質は”CS35L41”のおかげもありそれなりに良く、筐体がコストカットでプラスチック多めな端末とは違い、低域もスマホにしては出る方です。

Dolby Atmos対応のおかげで音の立体感も悪くなく、中域もクリアで人の声(ボーカル)も聴きやすいため、高品質かつAI補正も可能なディスプレイも相まって動画視聴からBGMとしての音楽再生もそつなくこなせます。

Bluetoothコーデック

Bluetoothコーデック制御アプリの”Bluetooth Codec Changer”で、POCO F3側がサポートしているBluetoothコーデックを確認します。

マイナーなUATとSamsung専用のSSC以外、現在主流のBluetoothコーデック殆どに対応しています。

Snapdragon 870のスペック・仕様

ベンチマークテストの前にPOCO F3が採用し、名機たる所以の1つSnapdragon 870のスペックについてSnapdragon 865、世代的には後継にあたるSnapdragon 888と簡易表を用いて比較しながら軽くおさらい。

SoCSnapdragon 865Snapdragon 870Snapdragon 888
プロセス
ノード
TSMC 7nm N7PTSMC 7nm N7PSamsung 5nm LPP
CPUA77×1:2.84GHz
A77×3:2.42GHz
A55×4:1.8GHz
A77×1:3.2GHz
A77×3:2.42GHz
A55×4:1.8GHz
X1×1:2.84GHz
A78×3:2.42GHz
A55×4:1.8GHz
キャッシュL3:4MB
System:3MB
L3:4MB
System:3MB
L3:4MB
System:3MB
GPUAdreno 650
(587MHz)
Adreno 650
(670MHz)
Adreno 660
(840MHz)
NPU
(DSP)
Hexagon 698Hexagon 698Hexagon 780
ISPSpectra 480
(Dual14bit)
Spectra 480
(Dual14bit)
Spectra 580
(Triple14bit)
メモリLPDDR4X(2133MHz)
LPDDR5(2750MHz)
LPDDR4X(2133MHz)
LPDDR5(2750MHz)
LPDDR4X(2133MHz)
LPDDR5(3200MHz)
メモリ帯域幅4×16bit(44Gbit/s)4×16bit(44Gbit/s)4×16bit(51.2Gbit/s)
ストレージUFS 3.1(3.0)UFS 3.1(3.0)UFS 3.1(3.0)
通信モデムSnapdragon X55 5G(外部)Snapdragon X55 5G(外部)Snapdragon X60 5G(内蔵)
接続規格Wi-Fi 6
Bluetooth 5.1
Wi-Fi 6
Bluetooth 5.2
Wi-Fi 6(E)
Bluetooth 5.2
内部コードSM8250-ABSM8250-ACSM8350

基本的には港で言われている通り、Snapdragon 870は865のクロックアップ(強化)版で合ってます。違いとしてプライムコアのCortex-A77が2.84GHzから3.2GHzへ、Adreno 650が865+と同じ670MHzになった程度。地味にSnapdragon 865+と同じBluetooth Ver 5.2にも変わってます。

調べる前までは単なるSnapdragon 865+のリネーム品だと思っていましたが、865+のA77(3.1GHz)から更に引き上げられています。変わりに865+と異なりWi-Fi6(E)をサポートせず6止まりです。Snapdragon 865でもなければ、865+そのままでもない…870が確かにしっくりきます。

後継であり、上位モデルとも言えるSnapdragon 888とは結構スペックが異なり、最たる部分はCPUコアの更新及びISPがデュアルからトリプルコア化、外付けだったモデムの内蔵と思っているより改良点は多いです。

そして生産を受託するファウンドリーがTSMCからSamsungへと変わり、7nm N7Pから5nm LPPへと微細化され、当時のQualcomm曰くSnapdragon 865と比較してCPUで25%・GPUで30%、電力効率も25%改善したそう。

SoCがサポートするメモリクロックも上昇し、最大で3200MHzのLPDDR5に対応可能。とはいえ、必ずしもサポートされている周波数のメモリが使用されている訳ではありません。最終的にはベンダーの判断次第。

どうでもいい話として、発熱問題によりTSMCが一部のSnapdragon 888を製造するとかいう根も葉も無い噂が流れましたが、結局そんな代物は無いです。

ベンチマークテスト

POCO F3(Snapdragon 870)の基本性能をベンチマークします。手持ちのXiaomi端末を用いて比較しますが…ぶっちゃけるとベンチマークでは基本的にこの中だとPOCO F3が大抵の場合で劣っています。Snapdragon 8 Gen 2と870を比べても結果は火を見るよりも明らかです。

POCO F3をレビューすること自体が今更とはいえ、在り来りな「どれが強い」とか「ベンチスコアが上」だけを見るのではなく、「Snapdragon 870から次世代達がどの程度進化したか」も確認するために計測します。

今まで用いたデータは、簡素化のために過去記事から流用していたため完全な同一環境下(例えば時間帯がバラけてたり)ではなく場合によっては”良い結果”に偏りがち、かつ比較するにしても公平性がやや欠けていました。

なので、ある出来事への戒めと採用ベンチマーク・テスト結果の整理も含めて、検証データを全て再計測かつグラフも作り直します。そのためにPOCO F3以外は公式→カスタムROMの順で焼き直し環境を再構築しました。

テスト端末構成
端末Redmi K60 Pro
POCO F4 GT
Redmi Note 12 Turbo
Xiaomi Mi 11i
POCO F3
OSAndroid 13(Xiaomi.eu 14)
Android 13(Xiaomi.eu 14)
Android 13(Evolution X for marbel)
Android 13(Xiaomi.eu 14)
Android 13(MIUI Global 14)
SoCSnapdragon 8 Gen 2
Snapdragon 8 Gen 1
Snapdragon 7+ Gen 2
Snapdragon 888
Snapdragon 870
メモリ8GB(LPDDR5X)
8GB(LPDDR5)
8GB(LPDDR5)
8GB(LPDDR5)
6GB(LPDDR5)
ストレージ256GB(UFS 4.0)
128GB(UFS 3.1)
256GB(UFS 3.1)
128GB(UFS 3.1)
128GB(UFS 3.1)
備考動作制御:SoC定格動作/パフォーマンスモード
その他:Wi-Fi環境下、画面輝度全端末50%固定/120Hz駆動、室温29℃

Geekbench

CPU性能を計測するGeekbench 6では、Playストア版(6.1.0)でシングルスコア1163・マルチスコア3241、パッケージ名を変更したベンチマークブースト対策版(6.0.0)では1119・3212でした。

パッケージ名を変更してもスコアの大幅な低下はしていないので動作周波数を固定したり、熱制御を緩めるベンチマークブースト行為をGeekbench 6ではしていないと思われます。

Snapdragon 865+から更に3.2GHzへ引き上げられているとはいえ、870は旧世代(Armv8.2-A)のCortex-A77を採用しているため、Cortex-A78やX1を採用した888以降には特にマルチスコアで水をあけられています。

スコアだけ見ればSnapdragon 870は”所詮”旧世代、888以降の次世代が完全に優れている様に見えますが…実際に優れていたかは後述するワットパフォーマンスの結果で確認します。

3DMark

3840×2160の解像度でVulkan APIを用いてGPU性能を計測するベンチマーク、3DMark(Wild Life Extreme)のベンチマークブースト対策版ではスコア1245でした。

GPU性能の向上は世代毎に順当で、アーキテクチャがほぼ変わらないAdreno 600シリーズ同士でも、840MHzのAdreno 660(888)はAdreno 650(870)から2割弱性能が上昇しています。

しかし、動作クロックの向上のみで実現しているためそれほど大きい差ではなく、アーキテクチャがAdreno 700へ更新され、6割近い差になったAdreno 730(8 Gen 1)とAdreno 660(888)ほどではありません。

実際のゲームにおいては、Snapdragon 888と870で立場が逆転する可能性も十分にあります。

PCMark for Android

Webブラウジングや写真・動画編集、データ操作といった一般的なタスクでの性能を計測する、PCMark for Android(work 3.0)のベンチマークブースト対策版で、POCO F3はスコア13162でした。

PCMark for Android(work 3.0)ではSnapdragon 8 Gen 2が素で15000台を叩き出す以外、Snapdragon 865(870)以降だとSoCによる性能差はほぼ横ばい。ただ、これもベンダーの調整次第で結構変わります。

ベンチマークブーストや温度制御の緩い端末によっては、例えばSnapdragon 888でも15000近く出る場合もあり、PCMark自体がスコア差を競うためのベンチではないので高ければ何でも良い訳ではないです。

そういった意味では「新しい端末に買い替えたけど普段使いだと差をあまり感じない」みたいなのも、概ねPCMarkの結果に則しているとも言えます。

スコア10000超えのSnapdragon 870(POCO F3)は、一般的なタスク・使い方では十二分な性能です。

mozilla kraken 1.1

シングルスレッド性能の差が反映されやすく、ブラウザ上で動作するベンチマーク”mozilla kraken 1.1”でWebブラウザの処理速度をテストします。単位はミリ秒(ms)で1000msを下回っていれば実用的な結果です。

Snapdragon 870(POCO F3)の合計処理時間は1097msで、ほぼ1000msに近くとりあえず合格ラインです。

重たいWebページでも単純計算で約1.1秒で処理が可能。Snapdragon 888とは誤差と言っても良い結果です。

シングルスレッド性能の差がモロに反映された結果、Geekbench 6と同様にSnapdragon 8 Gen 1が悲惨な結果を残しています。もし夏場の影響がここまで出なければ8 Gen 1は780~800msくらいです。

CPDT Benchmark

クロスプラットフォーム対応のCPDT Benchmarkで、モバイル端末でも非常に重要なストレージ・メモリ速度を計測します。テストのファイルサイズは1GB、BufferingやCacheはOFFの標準設定です。

POCO F3はシーケンシャルでライト約466MB/s・リード約1.03GB/s、ランダムでライト約36.85MB/s・リード約17.51MB/s、メモリコピーでは9.69GB/sでした。

SanDisk製:SDINFDK4-128GのUFS 3.1(Flash ROM)をストレージに採用しており、UFS 3.1世代としてシーケンシャルリードはそこそこ速い反面、シーケンシャルライトは遅めでした。

普段使いで非常に重要なランダム性能(4KB)では、ライトが36.85MB/sで書き込み速度がUFS 3.1としては突出して速く、逆にリードは17.51MB/s…と標準的です。

メモリにはMicron製のLPDDR5メモリを採用しています。メモリコピー速度の結果は9.69GB/s。

同じLPDDR5でもSoCがサポートしている速度が違い、Snapdragon 870では”最大”メモリ帯域幅が44Gbit/s、888では51.2Gbit/s、LPDDR5Xの8 Gen 2だと64Gbit/sのため、POCO F3が最も遅いのは順当な結果と言えます。

YouTuberがよく行うAntutuベンチマークしか計測しない場合や、大手メディアのレビュー時でもストレージ・メモリの規格や性能は見落とされがちですが…ちゃんと世代毎に少しずつ進化しています。

Geekbench ML

TensorFlow Liteフレームワークを用いて機械学習(AI)性能をベンチマークするGeekbench MLで、バックエンドのCPU/GPU/NNAPI全て実行します。

Snapdragon 870(POCO F3)の結果はCPU:407、GPU:1407、NNAPI:981でした。

CPU/GPUの結果はとりあえず順当、NNAPI(Android Neural Networks API)の場合も、Snapdragon 870から888で機械学習(AI)性能はかなり向上しており、最も良い結果の8 Gen 1と870では3倍も差があります。

が…Geekbench MLのNNAPIはイマイチよく分からないところがあり、Snapdragon 8 Gen 2や7+ Gen 2では全くスコアが振るいません。

普通に考えてSnapdragon 888(Hexagon 780)より性能が向上している、8 Gen 1と同等以上のNPU/DSPを採用する8 Gen 2や7+ Gen 2が870以下なのは不自然。QualcommがNNAPIに注力しなくなった…トカナントカ。

私が参考にしているAndroPlus=サンの結果やGeekbench ML公式のリストを見ても同様の傾向で、正直よく分かりません。個人的には暫定的な結果に留め、NNAPIの値は過信せず参考程度で見ています。

本当なら業界標準のベンチマークツール”MLPerf Mobile”を今回から使う予定でしたが、Snapdragon 870では旧バージョン含めて動作しないため、言い方は悪いですが”仕方なく”Geekbench MLで代用しています…。

RealSR-NCNN-Android

機械学習(AI)性能を計るベンチマーク結果だけを見ても差があるのは分かりますが…正直、ピンときません。

簡単なAI性能テストとして、機械学習(AI)を用いた画像のアップスケーリングをテストします。

Real-ESRGANをベースにしたシンプルなアプリ”RealSR-NCNN-Android-GUI”を使い、適当にStable Diffusionで生成した、画像1枚(1080×1920px)をモデル”real-esrganv3-anime”でGPUを使って処理させ、2・4倍へアップスケーリング後にResultで確認できる合計処理時間(秒)で比較します。

1080×1920(FHD)からそれぞれ、2160×3840(4K)・4320×7680(8K)にGPU処理で2・4倍へアップスケーリングした場合、他のGPUベンチマーク結果同様、Snapdragon 8 Gen 2(Adreno 740)が圧倒的な速度です。

後にAdreno 730、725、660…と続き、Snapdragon 888から差が開いて、870が約23/38秒で処理を完了。

Snapdragon 8 Gen 2や8 Gen 1で掛かる倍以上の処理時間を870は要しており、2019年の終わりに865(Adreno 650)が登場して以来、過去3年でAI関連やGPU性能を着順に向上させた結果が反映された様にも感じます。

CPU・GPUストレステスト

CPU Throttling Test

発揮可能な性能の100%を基準に、発熱による性能低下時のCPU性能を計測できるストレステスト、CPU Throttling Testを最大負荷の100スレッド、20分間実行してCPU性能の安定性を確認します。

POCO F3+Snapdragon 870の構成はCPU使用率100%が20分間続き、サーマルスロットリングによるCPU性能の低下が18%(約2割)発生し、ピーク(100%)比で82%のCPU性能を維持可能です。

POCO F3は冷却機構に上位モデルのMi 11i(K40 Pro+)と同じLiquidCool Technology 1.0 Plusを搭載しています。

次世代機では当たり前になった、大型VC冷却のLiquidCool Technology 2.0を搭載するRedmi K60 ProやNote 12 Turboより、かなり小さいVC冷却です。

しかし、Snapdragon 870自体が888や8 Gen 1よりは複数の要因から熱を持たないため、VC冷却の小ささとは裏腹に安定性は80%を超えており、比較的良好な結果です。

LiquidCool Technology 3.0の総面積4860mm²になるDual VC冷却を採用していながら、それでも抑えきれない発熱量のSnapdragon 8 Gen 1(POCO F4 GT)は全然ダメ。63%まで性能が低下します。

3DMark Wild Life Extreme Stress Test

ベンチマークブースト対策版の3DMark(Wild Life Extreme Stress Test)で、GPU性能の安定性を確認します。

POCO F3+Snapdragon 870の構成では、最大スコア1254・最低スコア1035、安定性は82.5%でした。

Snapdragon 870(Adreno 650)の最大スコア1254は、20ループ後の性能が低下した状態の888(Adreno 660)に近いです。最低スコアは1035で前述の通り、870が最も低い結果になるのは仕方がないです…。

安定性についてはGPU側も80%でまずまずの結果です。ただし、これは3840×2160の解像度でVulkan APIを用いてGPU性能を計測する「Wild Life Extremeの間」でしか、比較や優劣を判断できません。

一般的なソーシャルゲームや高負荷な3Dゲームでも大半の解像度は1080p辺りまで、かつグラフィックAPIにはAndroidの場合OpenGLを利用して動作させています。

Wild Life Extremeのテスト内容は極限の負荷に近く、実際のゲームとは様々な点が異なりその結果から「人気タイトルの〇〇が最高設定の60fpsでも安定」等と断定することはできません。

Wild Life Extreme Stress Testから読み取れることは、Vulkan APIでGPUを99%使用した場合の発熱や性能の低下具合、それらから考察・推測をするための材料だけです。

ゲーム性能

ベンチマークテストの結果は”所詮”最大性能を測定するための存在・簡易指標でしかないです。また、前は平均フレームレートだけを計測していましたが…平均フレームレートも”平均値”でしかありません。

計測ツール”TakoStats-FPS&Perf overlay(TakoStats)”を使って、海外や国内の大手ITメディアにおけるdGPU(グラボ)性能の評価・レビューに倣い、平均フレームレートとロード等を挟む場合は最低5%(95th%Tile min fps)、挟まない場合は最低1%(99th%Tile min fps)から実ゲームでの動作・最低fpsの安定性を確認します。

計測に際して各端末のゲームターボ(AOSP:ゲームスペース)にタイトルを追加し、パフォーマンスの最適化を有効化した上でGoogle Play Store経由でインストールしたアプリを動作させています。

勝利の女神:NIKKE(メガニケ)

フレームレートによって交戦中ニケのDPSに差が生じ、fpsの安定性が非常に重要となる中量級タイトルのガンガールRPG「勝利の女神:NIKKE(メガニケ)」でのパフォーマンスをテスト。

尚、メガニケの推奨スペックはAndroid 13/RAM4GB以上/64bit環境しか記載が無く、具体的なスペックや情報に乏しいのが現状です。公式曰く「Android端末は種類が多くて全てのパフォーマンスを把握できない」だそう。

計測方法は単純で、グラフィック(高)/1080p@60fps設定にて条件を統一するためユニオン射撃場で3回交戦し、平均・最低フレームレート(5%)とfpsによるダメージの差が激しいモダニア単体のDPSを比較します。

ロードを含めたユニオン射撃場×3(約5分間)のフレームレートは、Snapdragon 870(POCO F3)が平均43.5fps・最低(5%)で26.4fpsを記録し、テスト端末の中で888から差が開いてワーストの結果になりました。

メタい話しをすると…先にこの後触れる原神等を検証していて、異様にメガニケだけSnapdragon 870の結果が悪いため何か変だと引っ掛かり、Snapdragon 888と870で残滅モード中のモダニア=サンにフォーカスしてCPU・GPUの動作クロックを軽く調べました。

結果、60fps前後で動作する左のSnapdragon 888では、CPU・GPU使用率や周波数が右の870に比べて高く、中負荷で発揮するパフォーマンスが重要なメガニケで、上手く870を使い切れていない可能性が浮上しました。

動作クロックと使用率から考えて、動作クロック540MHzのSnapdragon 888の方がGPU使用率78%、本来は使用率が80%以上でもおかしくない441MHzの870が60%と低く、GPUが遊んでいる状態です。

モダニア=サン単体のDPSでもフレームレートの結果がそのまま反映され、Snapdragon 888と870ですら約31%も平均ダメージに差が生まれています。870を他と比べるまでもないですね。

メガニケで半インフラと化し、コンテンツスレイヤーな活躍をするモダニア=サンをフルに活躍させたい場合、POCO F3(870)そのままでは平均50fpsすら維持できないので、高設定から下げるケツ決断が必要です。

原神(Genshin Impact)

推奨スペックはSnapdragon 845+RAM6GBながら…実際の要求値は更に高く、カタログスペックやベンチマークスコアだけでは実動作を測れない重量級タイトル「原神(Genshin Impact)」でのパフォーマンスをテスト。

グラフィック(最高)/720p@60fps設定にて、螺旋状に渦を巻くスメール”千尋の砂漠”でフィールドエネミーを倒しつつ、30分間散策してぐるりと1周して、平均・最低フレームレート(1%)を計測します。

ワープポイントによるロードを挟まずに原神(720p)をスメールで30分間プレイし、Snapdragon 870(POCO F3)は平均46.7fps・最低(1%)で20.8fpsで動作。

ベンチマークテストやメガニケでの結果をひっくり返し、平均フレームレートにおいてSnapdragon 888と8 Gen 1を870が上回りました。しかし最低フレームレート(1%)はそれほど良くないです。

原神は結局のところ、どちらかと言えばGPUよりCPU性能が重要なゲームなので、連続して長くプレイした場合に大切なのはGPUボトルネックにならない程度まで、CPU性能と動作クロック維持出来るかどうかです。

Snapdragon 7+ Gen 2(Adeno 725)が8 Gen 1(Adreno 730)にベンチマークだと劣っていても、グラフの様に圧倒する結果になる要因の1つにはこれが挙げられます。

POCO F3+Snapdragon 870だと平均46.7fps程度ですが、Legion Y700やXiaomi Pad 5 Pro等の放熱性が優れたタブレットクラスでは870が終始安定しやすいため、平均55fps前後でプレイ可能なのも十分に頷けます。

崩壊:スターレイル(Honkai:Star Rail)

Snapdragon 855(Dimensity 1000)+RAM6GBクラスが推奨スペックな、崩壊シリーズ最新作「崩壊:スターレイル(Honkai:Star Rail)」でのパフォーマンスをテスト。

原神(スメール)よりも、非常にGPU負荷の重い仙舟「羅浮」の星槎海中枢をグラフィック(最高)かつ60fps設定にて、一定のルートを10分間歩き回り平均・最低フレームレート(1%)を測定します。

Snapdragon 870(POCO F3)は星槎海中枢にて平均35.2fps・最低(1%)で14.5fpsを記録。

GPU性能が特に重要となるスターレイルでは、世代毎の性能差と安定性が如実に反映されます。Snapdragon 888と870の差は小さいですが、Adreno700シリーズとは明確な差があります。

今のところ、星槎海中枢にて最低フレームレート(1%)で40fpsを超えられるのはSnapdragon 8 Gen 2クラスのみ、他とは一線を画す圧倒的なGPU性能の差を垣間見ることができます。

海外では非公式ながら、Android版の一部で崩壊:スターレイルの実行解像度が760pであることが判明しており、仙舟「羅浮」を原神以上の3Dゲームテストとして使うパワー系レビュアー=サンが複数名居ます。

アレはアレで1つの指標となります。しかしながら…多くの開拓者(プレイヤー)にとっては30分間も羅浮だけを遊ぶ訳ではなく、テストと実際のプレイには乖離が生じます。

そのため多くの開拓者にとって、コンテンツとして利用頻度が高いであろう模擬宇宙でもテストします。カカリア(スペック)&ブローニャペアの第六世界は単純に厄介なので、スタンダードかつ10分前後で済むジェパード(スペック)のいる第三世界で平均・最低フレームレート(5%)を計測。

スターレイルの戦闘シーンはロード済みのため負荷はそれほど掛からず、全体的にフレームレートは出やすく、Snapdragon 870(POCO F3)は模擬宇宙にて平均44.5fps・最低(1%)で25.8fpsで動作。

模擬宇宙ではSnapdragon 888を完全にノックアウト、平均・最低フレームレート両方で下剋上を果たしました。

やはりSnapdragon 7+ Gen 2や、負荷が軽い場合だけ元気になる8 Gen 1には一歩及びませんが…少なくとも原神やスターレイルのようなタイトルだと、後継にあたる888は870の上位互換とは言えない結果になりました。

消費電力と温度、ワットパフォーマンス

TakoStatsで計測したチャートデータを元に消費電力と温度、ワットパフォーマンスを確認。旧世代のSnapdragon 870に対して、次世代のSnapdragon達がどれくらい優れているか確かめます。

CPUの電力効率(ワットパフォーマンス)

Geekbench 6(Multi)実行中に記録した最大消費電力、前述した各SoCのスコアは表の通りです。

SoCGeekbench 6(Multi)最大消費電力(W)
Snapdragon 8 Gen 253019.4(9370mW)
Snapdragon 8 Gen 135089.5(9543mW)
Snapdragon 7+ Gen 243607.3(7333mW)
Snapdragon 888385210(10155mW)
Snapdragon 87032127(7007mW)

Geekbench 6のマルチコアスコアを記録した最大消費電力で割って消費電力辺りのスコアを計算し、CPU性能によるワットパフォーマンスをグラフ化します。

CPUにおいて7.3Wでスコア4360を叩き出したSnapdragon 7+ Gen 2が最も電力効率に優れ、9.4Wを消費するものの、スコア5000超えの圧倒的な結果を残した8 Gen 2が僅差で2番手に。

Snapdragon 870はスコアこそワーストながら7WでまだSamsung製の2つよりは電力効率に優れ、製造プロセスがTSMC 4nmかつアーキテクチャの大幅な改善がある上位2つには劣りますが、それでも3番手をマーク。

逆にSnapdragon 888は、様々な改良点を与えられておきながらCPU単体で10Wも消費してしまい、それにも関わらず870から約20%しか改善していません。ワットパフォーマンスはむしろ後退してしまいました。

Snapdragon 8 Gen 1は…前述の通りCPU性能ではかなりスコアが低下しており、その分で消費電力も下がっている筈と思っていました。しかしSnapdragon 8 Gen 1は結局、マルチスレッドで10W近い9.5Wを消費していました。

10W前後でSnapdragon 888以下なのでワッパは更に悪化。仮にフルパワー動作させた場合、私が参考にしているGeekerwan=サンの検証でGeekbench 5とはいえ、軽く11Wを超えておりどのみち870にすら及びません。

Samsungの4/5nmによってハイエンド向けSnapdragonは、CPUの電力効率において865(870)から2世代に渡って改善しないどころか後退する結果に。Qualcommは2019~2021年前半までのintelだった…?

GPUの電力効率(ワットパフォーマンス)

3DMark Wild Life Extreme実行中に記録した最大消費電力、前述した各SoCのスコアは表の通りです。

SoCWild Life Extreme最大消費電力(W)
Snapdragon 8 Gen 234427.5(7511mW)
Snapdragon 8 Gen 1254111(11141mW)
Snapdragon 7+ Gen 219754.2(4178mW)
Snapdragon 88815598.8(8789mW)
Snapdragon 87012455.9(5935mW)

Overall scoreを記録した最大消費電力で割って消費電力辺りのスコアを計算し、GPU性能によるワットパフォーマンスをグラフ化。

Snapdragon 7+ Gen 2と8 Gen 2が1・2番手を僅差で争い、ワットパフォーマンスで他Snapdragonの追随を許さない、異なる次元の戦いをGPUでも繰り広げています。

面白いことにここへ来て、Snapdragon 8 Gen 1(Adreno 730)が3番手に浮上。スマートフォン向けGPU単体で11Wも消費する電力モンスターは、意外なことに消費した分の仕事はしていた様です。

続けてSnapdragon 870(Adreno 650)が4番手、こうして見ると600から700への更新による効果は確かにあった模様。GPUにおけるワーストは当然ながらSnapdragon 888(Adreno 660)です。

単にAdreno 600シリーズを微細化によってクロックを盛れるだけ盛っただけの存在であり、実ゲームにおいては立場の逆転を許してしまう程度のGPUが、Snapdragon 870より優れた電力効率な訳がありません。

実ゲームにおける電力効率と温度

中負荷のメガニケではSnapdragon 870の傾向は変わらず、1フレーム辺りの消費電力は115mWで電力効率は3番手です。最大バッテリー温度は36.5℃で負荷と動作相応の軽微な発熱に留まります。

CPU・GPUリソースの大半を喰らいベンチマークと呼ばれてしまっている、高負荷な原神ではやっぱりまたSnapdragon 870が3番手です。消費電力は1フレーム辺り124mW、最大バッテリー温度は45.7℃。

LiquidCool Technology 1.0 Plusに基づく冷却機構があるとはいえ、POCO F3はそこまでSoCの冷却性能が高いわけでは無いので、原神(スメール)30分間での発熱は平均フレームレートが高いのもあり4番手です。

どちらのタイトルでも、Snapdragon 870と比較して8 Gen 2や7+ Gen 2はベンチマーク結果が高いだけに留まらず、様々な点において明確に進化した正統な次世代たる存在です。

…逆に電力効率が悪化していたり、場合によっては逆転されるSnapdragon 888や8 Gen 1は次世代として相応しく無く、後継として優れた存在ではないです。サジェストに失敗作があっても仕方ないと思います。

当時、最大性能だけを見て「Antutu〇〇スコアオーバーで高性能!」等と何も考えず、脳死でSnapdragon 888や8 Gen 1を有難がっていたYouTuberやメディアの人達は、乱暴に言うと眼科に行くか動物園に帰るべきです。

カメラ

ハードウェア

Device Info HWから確認できたPOCO F3のハードウェア構成です。

カメラセンサー
メイン 48MPSony IMX582(1/2インチ)
超広角 8MPSony IMX355(不明)
テレマクロ 5MPSamsung ISOCELL 5E9(1/5インチ)
フロント 20MPSamsung ISOCELL 3T2(1/3.4インチ)

メインカメラのセンサーはIMX582で、ミドルレンジのMi 9T(Redmi K20)辺りに採用された物です。悪くは無いですが…モノがモノなのでPOCO F3(Redmi K40)のカメラ性能は当時から”普通か少し悪い”という評価です。

まぁ…最初から多少カメラ性能が欲しければ、Triple ISPのSnapdragon 888(Spectra 580)+ISOCELL HM2(1.52型)を採用したMi 11i(K40 Pro+)買ってね…ってだけです。

その代わりメイン以外のセンサーはK40シリーズ共通で、テレマクロはオマケの割に意外と撮れると評判は悪く無かった印象です。マイナーチェンジ版のRedmi K40S(POCO F4)では2MPにダウングレードしています…。

ソフトウェア

カメラソフトウェアは従来通りのMIUIカメラです。グローバルモデルなのでシャッター音は無効化できます。

カメラ静止画動画
超広角×0.6~0.9×0.6~0.9
3280×2464720/1080p:30fps
広角(メイン)×1~10×1~6
4000×3000
6000×8000(48MP)
720p/4K:30fps
1080p:60fps
マクロ×1~2×1~2
2592×1944720/1080p:30fps

簡単な作例と雑感

POCO F3は今更カメラについてゴニョゴニョ語る端末ではないし、音の好み程ではないにしろ画作りや写りは個人の好みがあるので、簡単な数枚のサンプルと雑感です。比較には姉妹機のMi 11i(K40 Pro+)を使用。

思っていたよりMi 11iの方が鮮やかで綺麗に撮れた気がします。

POCO F3は悪くないですが…特に何も感じない”普通”という印象。逆に派手過ぎずおかしな色の写真にはならないとも言えます。

物撮りや普段使いにおいて多用するメインカメラの2倍ズームは、センサーや解像度の影響が大きくPOCO F3はやや解像感に欠けます。

マクロ撮影はMi 11i(K40 Pro+)譲りで2MPのオマケとは違います。基板等に実装されているIC部品や接点も綺麗に撮影可能。

あとがき

総合的にはMi 11i(K40 Pro+)の方が好きで気に入っていますが、限定的な部分での性能とはいえ「兄(姉)よりすぐれた弟(妹)なぞ存在しねぇ!!」と思えてしまうくらいには、Snapdragon 870(POCO F3)は優秀でした。

ようやくバトンを渡せる次世代達が現れたため、第一線からは一歩下がった位置に存在していますが、まだまだ現役どころかSnapdragon 888を明確に喰らい、下手なSnapdragon 8 Gen 1さえ負かせるポテンシャルはあります。

正統な後継者と言えるSnapdragon 8+ Gen 1(と7+ Gen 2)がリリースされるまでの間、電力効率と扱いやすさで事前評価を覆して870がユーザーやベンダーから人気を集めただけはあります。

POCO F3はその人気故に”弄って遊びやすい”端末でもあり、市販された状態では潜在能力を完全に活かせてはいません。状態の良い個体でも安く手に入りやすいため、下手なSnapdragon 888や8 Gen 1搭載機を選ぶくらいなら、使い潰すつもりで敢えて安いSnapdragon 870(POCO F3)を狙うのもベターです。

進化の流れが速いスマートフォンにおいて、2年を経てもaliothとSnapdragon 870は未だ健在で、まだ眠りにつく気配はなさそうな印象です。

余談として、この記事は買ったけど結局レビューできなかったRedmi K20 Pro(Mi 9T Pro)と同じ様に、没記事にするか迷いました。POCO F3もSnapdragon 870も今更過ぎて、レビュー需要は限りなくNothingです。

加えてスコアがインフレするだけの兔を走らせなかったり、試験的な要素と最初は加熱成分が含まれすぎていたで。とりあえず白紙にして再構成し、苦い珈琲をなるべくカフェオレにしたつもりです。

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