定番Redmi Kシリーズの現行モデルでK60シリーズの最上位モデル、Snapdragon 8 Gen 2を採用した割に影の薄いRedmi K60 Proを購入したのでレビューします。
スペック・仕様
Xiaomi Redmi K60 Pro(22127RK46C) | |
OS | MIUI 14(Android 13ベース) |
SoC | Snapdragon 8 Gen 2(TSMC 4nm”N4”) |
RAM | 8/12/16GB(LPDDR5X) |
ストレージ | 128GB/256/512GB(UFS 4.0※) |
ディスプレイ | 6.67インチ OLED (1440×3200/60・120Hz) |
サイズ | 162.8×75.4×8.6mm |
重さ | 205g |
バッテリー | 5000mAh(Hyper Charge 120W/PD 3.0/QC 3+/ワイヤレス30W) |
カメラ | 50MP(メイン:Sony IMX800+OIS) 8MP(超広角:Omnivision OV08B10) 2MP(マクロ:Omnivision OV02B10) 16MP(フロント:Omnivision OV16A1Q) |
インターフェース | USB Type-C(USB 2.0) nanoSIM×2 |
オーディオ | ステレオスピーカー(アンプ:CS35L41) Dolby Atmos Hi-Res Audio(~192000Hz) |
接続規格 | Wi-Fi 7(802.11a/b/g/n/ac/ax/be:2.4/5/6GHz) Bluetooth 5.3 NFC |
セキュリティ | 画面内指紋認証/顔認証 |
備考 | ※128GB版はUFS 3.1のため、性能が若干低下 一部スペック・部品を除き、K60(E)と筐体等は共通 |
開封・内容物
京東(JD.com)のXiaomi JD自営旗艦店から個人輸入しました。8+256GBをセール価格で諸々込(預金+送料+関税)の6.5万円くらいで購入。
5/31の夜に決済してから、6/6の午前中には届きました。官方直邮はやっぱり早いです。
内容物はいつも通り、Xiaomi(Redmi)らしく実用的なアクセサリー類が一式揃ってます。イヤホンジャックが無い端末ながら3.5mm変換アダプター(アナログ式)は付属しません。DAC無しは要らないので結構です。
パッケージ内容 |
・Redmi K60 Pro ・ACアダプター(5V3A-20V6A:最大120W) ・USB Type-A to Cケーブル ・TPUクリアケース ・TPU画面保護フィルム(本体貼付け済み) ・SIMピン ・マニュアル類 |
外観
Xiaomi Mi 11iと同じ白系の晴雪を選びました。至って普通で、特に格好良いとか惚れ惚れするデザインには感じ無いです。
ボタン類は正面からみて右側に集約されており、上からボリュームキー、電源キーが配置されています。左側は何もなく従来のXiaomi端末の配置です。
本体下部にスピーカー、USB Type-Cポート(USB 2.0)とマイク、SIMスロットがあり上部にもスピーカー、Xiaomi端末でお馴染みの赤外線IRブラスターとマイクが備わっています。
本体下部のSIMスロットは裏表にnanoSIMカードを装着可能です。
Redmi K60 Proの重さは208.9g、ケース装着時229gでした。6.67インチのディスプレイと5000mAhのバッテリーを搭載し、ワイヤレス充電用のコイルも備えるため重めです。
ソフトウェア
MIUI 14(中国版)
Redmi K60 ProはAndroid 13ベースのMIUI 14(中国版)を搭載しています。初期状態で29.7GB使用していました。
中国版でも”Basic Google services”をONにすることでGMSを利用可能な他、”adb shell settings put system system_locales ja-JP”を適用することで、一部設定やアプリはある程度は日本語で利用できます。
私の場合はブートローダーアンロックまで336時間(14日間)でしたが、恐らくアカウントによるものでRedmi K60 Proも168時間の筈です。
今まで購入したXiaomi端末の大半をアンロックしてきましたが…多くても168時間だったので、K60 Proで336時間と表示され軽く絶望しています。
ハードウェア
豊富な対応バンド&VoLTE開放済み
Redmi K60 Proの対応バンドは以下の通りです。
5G | NR:n1/n3/n5/n8/n28a/n38/n41/n77/n78 |
4G | FDD-LTE:B1/B3/B4/B5/B8/B18/B19/B26 |
TD-LTE:B34/B38/B39/B40/B41/B42 | |
3G | WCDMA:B1/B4/B5/B6/B8/B19 |
2G | GSM:B3/B5/B8 |
CDMA:BC0 |
日本で利用する場合に重要な”B1/3/8/18/19/26”に対応しており、基本的にどの通信事業者でも使えると思います。
povo2.0のSIMを入れてみたところ、特に設定せずともAPNが読み込まれVoLTEが有効化されました。いつも通りHD通話も問題ありませんでした。おまじない(開放コマンド)は不要です。
蛇足にはなりますが、Redmi K60 ProはSnapdragon 8 Gen 2(FastConnect 7800)のおかげか、Device Info HW上でWi-Fi 7(802.11be)対応となっていました。
2Kに対応したCSOT C6材採用のOLED
Redmi K60 Proは6.67インチのフラットで、2K(1440×3200)解像度のOLEDディスプレイを採用。WekiHomeサンの分解動画を拝見する限り、TCLの子会社であるCSOTのC6発光材を採用しているようです。
サブピクセルはダイヤモンドピクセル配列に見えます。ベゼルは細めでインカメラはパンチホールタイプ、ピーク輝度は1400nitでそこそこ明るく、12bit(687億色)の色表現も可能で発色も良い高精細なディスプレイです。
自動・60/120Hz固定のリフレッシュレート、タッチサンプリングレートは480Hz、アスペクト比は20:9、PPIは526、HDR10+やDolbyVisionにも対応しているようです。
色彩設定も自由度が高く、従来のRedmi Kシリーズと同じようにRGBや色温度も調整可能です。解像度は任意でFHD+とWQHD+から選択可能です。
Redmi K60 ProのWidevineはL1でした。高画質な動画ストリーミング再生が可能です。
Xiaomi Hyper Charge 120W対応
Redmi K60 ProはXiaomi独自の充電規格”Xiaomi Hyper Charge 120W+ワイヤレス30W”での充電に対応しており、純正のACアダプターとケーブルが付属しています。また充電チップに”Surge P1”を採用しています。
ACアダプターは付属品でありながら、窒化ガリウム(GaN)を採用した型番”MDY-14-ED”の物で、MDY-12-EDや日本国内で単体販売されているMDY-13-EGの120Wアダプターより一回り小さく、手持ちのXiaomi系アダプターだとRedmi Note 12 Turbo付属のMDY-14-EVに近いサイズ感です。
窒化ガリウム(GaN)を採用した恩恵でシリコンタイプより電力効率に優れ、サイズが小型になり重さもMDY-13-EGの120Wアダプターより33g軽量化されています。おまけの充電器にしてはかなり豪華だと思います。
付属のACアダプターとケーブルでRedmi K60 Proを充電したところ、Xiaomi Hyper Charge 120Wが出力され”120W MAX”が画面上に表示されました。
Redmi K60 Proをバッテリー残量10%から95%まで、Xiaomi Hyper Charge 120Wで充電するのに掛かった時間は約20分でした。
26V6Aまで計測可能な”YK003C(AVHzY C3)”とSHZUKU TOOLBOX読みで、最大電圧・電流は18.8654V5.7093A、最大出力は約102Wで、Xiaomi Hyper Charge(内部的にはUSB PD PPS)とSurge P1、窒化ガリウム(GaN)等の影響なのか出力の変動が激しく、推移もかなり乱高下していました。
一応、念のためPOCO F4 GTに付属している120Wアダプター(MDY-13-EG)で充電したところ、MDY-14-EDより推移が安定しており、ほぼ同条件で約2分程速くバッテリー残量10%から95%に達しました。
MDY-14-EDとMDY-13-EGどちらの120Wの場合でも、100W前後で最大出力が頭打ちになっているのは特に問題無く、バッテリーが非常に少ない場合にしか120W出力されません。大体は40~70W前後が出力されます。
付属品以外の汎用的なUSB PD対応ACアダプターの場合も確認すると、最大20WのUSB PD(Fixed)に対応する”Anker PowerCore Fusion 10000”で充電したところ、9V2AでUSB PD(Fixed)のネゴシエーションがされていました。
USB PD PPSやPD互換のQC 4を出力できる、PowerIQ 3.0(Gen2)対応”Anker PowerPort Atom III 65W Slim”の45Wポートで充電したところ、USB PD 3.0(PPS)のネゴシエーションがされていました。
USB PDのパケットをキャプチャーしてみると、PowerPort Atom III 65W Slimから6系統のPDOを受信し、始めは6番(3.3-21.0V)をRedmi K60 Pro側がリクエスト、40秒経ったくらいで5番目(3.3-16.0V)をリクエスト。
その後は5番でやり取りし続け、USB PD 3.0(PPS)による約8.2V2.5A=20W前後が出力されていました。
3.3-16.0Vと3.3-21.0VのUSB PD PPS出力でも、Mi 11i(K40 Pro+)の様に無視して5V3AのUSB PD(Fixed)に落とされず、USB PD PPSにて充電可能です。Redmi Note 12 Turboと同様に45Wポートでも20W前後しか出力されませんでしたが…。
最速で充電する場合はXiaomi Hyper Charge必須です。腐っても急速充電が独自規格オンリーではなく、USB PD 3.0とQC 3+対応なだけマシだと思います。基本的に”いつも通り”のXiaomiです。
オーディオ
オーディオエフェクト
Redmi K60 Proは従来のXiaomi製品同様に、サウンド効果としてDolby Atmosに対応しています。
Dolbyエフェクトとしてプリセットやグラフィックイコライザーから音質を調整可能で、他社の端末で有りがちなDolby Atmosが強制的に有効化されてOFFにできないといったこともありません。
Dolby Atmosと排他利用かつ3.5mmステレオ出力限定ですが、Miサウンドにも対応しており、イヤホンに合わせた調整やイコライザー設定が可能な他、音の好みに合わせたイコライザーカーブを作成可能なパーソナライズサウンド機能も使用できます。
ハードウェア
Redmi K60 ProはディスクリートDACを搭載しないため、Snapdragon 8 Gen 2に統合されている”Qualcomm Aqsticオーディオコーデック”を使用します。このため、DAC無しのアナログ式変換アダプターも使用可能です。
Qualcommが8 Gen 2の統合モデルを公表しておらず、正式な型番は不明ですが…恐らく今までのSnapdragonシリーズと同じでWCD9385から変更していないと思います。
ハードウェアレベルでカスタム可能な、独自エンジン採用の音楽プレイヤー”Neutron Music Player”で、Redmi K60 Proのハードウェアを確認したところ、デフォルト設定ではスピーカー・3.5mmステレオミニ出力共に48000Hz(16bit)でした。
ドライバー設定からHi-Res系の出力を許可すると、スピーカー・3.5mmステレオミニ出力共に44100Hz~192000Hzまで選択可能になりました。WCD9385を統合した従来のSnapdragon搭載機と同じ挙動です。
見掛けだけで実際には再生が怪しい”なんちゃってハイレゾ対応”では無いことを確認します。
ネイティブ192000Hz(24bit)のWav音源の再生と、44100Hz(16bit)のmp3音源を176000HzにNeutron Music Playerでアップサンプリングしてテストをしたところ、スピーカー・3.5mmステレオミニ出力共にしっかりどちらも再生可能でした。
Device Info HWから確認できた情報として、Xperia 1 ⅡやPixel 7a、POCO F4 GTにXiaomi 13 Ultra等も採用しているCirrus Logic製のモバイル向けモノラル・クラスDアンプ”CS35L41”を搭載していました。
ステレオスピーカーの音質は”CS35L41”のおかげもあり、そこそこ良いです。低域はスマホ相応ですが、中・高域と臨場感が良くMi 11i(K40 Pro+)やrealme x2 Pro並みの音質に感じました。
Bluetoothコーデック
Bluetoothコーデック制御アプリの”Bluetooth Codec Changer”で、Redmi K60 Pro側がサポートしているBluetoothコーデックを確認します。
Redmi K60 ProはマイナーなUATとSamsung専用のSSC以外は、主流のBluetoothコーデックに対応可能のようです。
基本性能ベンチマーク
Redmi K60 Proの基本性能をベンチマーク。比較対象としてMIUI 14(euROM)で計測した、Snapdragon 8 Gen 1/888/7+ Gen 2のベンチマークデータを使用。
素の性能比較がしたかったのでMagiskモジュールやFDE.AI-docs等は外し、WebGLベンチマークとNCNN、CPU Throttling Testは再計測してます。※計測済みで揃っている3DMark等の過去データはそのままです。
Geekbench
クロスプラットフォーム対応のCPU性能を計測可能なGeekbench 6では、Playストア版(6.0.3)でシングルコアスコア1946・マルチコアスコア5062、パッケージ名を変更したMOD版(6.0.0)だと1984・5370でした。
パッケージ名を変更してもスコアの低下は見受けられない(どころか上昇した)ので、動作周波数を固定したり、熱制御を緩めるベンチマークブーストはしていないと思われます。
Snapdragon 8 Gen 2の特長である、プライムコアがCortex-X3(3.19GHz)へ更新され、パフォーマンスコアにA710×2(2.8GHz)とA715×2(2.8GHz)を採用し、処理性能を重視したP1+P2+P2+E3の8コア構成になったおかげで、前世代のSnapdragon 8 Gen 1からシングルで約17%、マルチで約32%もCPU性能が向上しています。
Geekbench 6におけるシングルコアスコア1900以上は、デスクトップ向けCPUのCore i5 11500(Cypress Cove)やRyzen 5 5600(Zen 3)が発揮する性能と同じで、マルチコアスコア5000はCore i7 7700K(4C8T)やRyzen 5 2600X(6C12T)と同等の水準です。
スマホ向けSoCのCPUとして、Snapdragon 8 Gen 2(Kryo)が強力なパフォーマンスであることは、最早言うまでもないです。次世代はもっと革新的なことをMediaTekがやろうとしてるみたいですが…。
3DMark
クロスプラットフォーム対応のグラフィック性能を測るベンチマーク、3DMarkのパッケージ名を変更したMOD版では、2560×1440の解像度でVulkan APIを用いてテストするWild LifeだとMaxed Out(カンスト)でした。
ハイエンド向けに3840×2160の解像度でWild Lifeから3倍の負荷を掛けるWild Life Extremeでは、スコア3003でした。スコア3500以上を発揮できるSnapdragon 8 Gen 2(Adreno 740)としては少し低い結果です。
WQHD解像度のWild Lifeだと天井に達してしまい、ベンチマークとして機能しない程の所までGPU性能が向上しています。当時”は”過剰性能と言われたSnapdragon 888(Adreno 660)のざっくり2倍以上といった具合です。
Snapdragon 8 Gen 1(Adreno 730)と比較した場合でも、約41%(1.41倍)のピーク時における性能向上を果たしており、GPU性能の上昇率も大きいことが読み取れます。
ちなみに私が参考にしている方の一人、极客湾=サン曰くSnapdragon 8 Gen 2(Adreno 740)のGPU性能は「GTX 1050とほぼ同等」とのこと。
実際、スコアだけで言えばRyzen 7 5700G(Vega 8)より上であり、GTX 1050と同等でも何ら不思議ではありません。ワットパフォーマンスを考えると…TGP75Wの1050と10W前後の8 Gen 2では比較するまでも無いでしょう。
PCMark for Android
Webブラウジングや2D性能など普段使いのパフォーマンスを計測するベンチマーク、PCMark for Android(work 3.0)のパッケージ名を変更したMOD版ではスコア15945でした。
前回Snapdragon 7+ Gen 2採用でブログ内の計測ではトップを更新したRedmi Note 12 Turboを上回り、普段使いにおいても最新のハイエンドSoCとして文句のない性能です。
CPDT Benchmark
クロスプラットフォーム対応のストレージ速度を計測するベンチマーク、CPDT Benchmark(Cross Platform Disk Test)ではシーケンシャルでライト1.08GB/s・リード1.82GB/sでした。
最新のUFS 4.0に対応するSamsung製のFlash ROMを採用したことで、UFS 3.1世代のストレージから飛躍的にシーケンシャル性能は向上しています。またUFS 4.0採用モデルとしてもRedmi K60 Proは中々高速な部類です。
普段使いで非常に重要なランダム性能では、ライト44.04MB/s・リード30.18MB/sで小さなファイル(4KB前後)の書き込み性能は向上したものの、読み込みではSnapdragon 8 Gen 1辺りのUFS 3.1には劣り、全ての項目で圧倒する結果にはなりませんでした。
とはいえランダムリード20MB/s前後あれば快適に使え、30MB/s以上はストレージ性能を気にする人向けです。
RAMにも最新のLPDDR5X(Micron製)を採用しており、Snapdragon 8 Gen 2でフル活用可能になったことで、LPDDR5X(実質は5)+Snapdragon 7+ Gen 2よりも高速です。
LPDDR5+Snapdragon 888の構成からは2倍近いパフォーマンスの向上です。
mozilla kraken 1.1
シングルスレッド性能とキャッシュが反映されやすいブラウザベンチマーク、mozilla kraken 1.1でWebブラウザの処理速度をテストします。単位はミリ秒(ms)で1000msを下回っていれば実用的な結果です。
Redmi K60 Pro(Snapdragon 8 Gen 2)の合計処理時間は655.7msで、はっきり言えばスマホとしては化け物と言っても良いブラウザ処理速度です。Snapdragon 8 Gen 1は勿論、888など相手になりません。
参考までに、ググると出てくるAnandTechのX86系デスクトップPC向けCPUのkraken 1.1の結果と比較すると、Snapdragon 8 Gen 2の655.7msという値は、数年前のハイエンドCPUであるCore i9 10900K(10C20T)やRyzen 9 3950X(16C32T)の730~50msよりも速いです。
Geekbench 6でシングルコアスコア1984を叩き出した、Snapdragon 8 Gen 2の単コア性能は凄まじいです。
AnTuTu Benchmark
総合的なパフォーマンスを計測する定番ベンチマーク、AnTuTu Benchmark V9.4.8では3回連続の計測で最大スコア1290471、最低スコア1282980、平均スコア1286821でした。ラボスコアの135万点は出ませんでした。
バッテリー消費量は最大4%、温度上昇は最大4.3℃で、計測時の最大バッテリー温度は43.9℃でした。
性能相応に発熱はありますが、安定性に欠けるといったことは無く、Samsung製のSnapdragon 8 Gen 1や888の様に2回目以降で性能が低下し、平均・最低スコアがガタ落ちするといったこともありません。
総合性能においてSnapdragon 8 Gen 2は、ピーク時888比で約61%(1.6倍)、8 Gen 1比で約25%(1.25倍)の向上を果たしています。平均・最低時における差はそれ以上に広がります。
一応、メジャーアップデート版であるV10系も計測はしてあり、スコア1519171です。ただベータ版かつ、まだ色々と比較用ベンチマークとして扱うには情報が乏しいので様子見しています。今回は比較しません。
スロットリングテスト
CPU Throttling Test
最大性能100%を基準に性能低下時のCPU性能を計測可能なCPU Throttling Testを高負荷の100スレッド、30分間実行してCPU側のパフォーマンスの持続性を計測します。
Redmi K60 ProのSnapdragon 8 Gen 2は、CPU使用率100%が30分間続いてスロットリングによる性能低下が発生した場合でも、ピーク比で87%のCPU性能を維持可能です。
Xiaomi 13シリーズよりも大きく、5000mm²もある大型VC冷却材のおかげか安定性もかなり高く、VC面積が3725mm²のRedmi Note 12 Turbo(Snapdragon 7+ Gen 2)以上の性能維持率です。
Snapdragon 8 Gen 1や888よりも基本性能が高いうえで、安定性もしっかり向上しています。
3DMark Stress Test
パッケージ名を変更したMOD版の3DMark Wild LifeとWild Life Extreme Stress Testで、GPU側のパフォーマンスの持続性を計測します。
2560×1440の解像度でVulkan APIを用いてテストするWild Life Stress Testでは、最大スコア10107・最低スコア7487、バッテリー消費54%→43%(11%消費)、温度上昇は26℃→41℃(15℃上昇)、フレームレートは34~73fpsでStability(安定性)は74.1%でした。
ハイエンド向けに3840×2160の解像度でWild Lifeから3倍の負荷を掛けるWild Life Extreme Stress Testでは、最大スコア3413・最低スコア2512、バッテリー消費42%→32%(10%消費)、温度上昇39℃→44℃(5℃上昇)、フレームレートは11~25fpsでStability(安定性)は73.6%でした。
テスト結果だけを見ると安定性が7割程度で微妙な印象ですが、Snapdragon 8 Gen 2搭載機は大体7~80%程度の安定性のため、Redmi K60 Proが他よりも悪いといった結果ではありません。
Wild Life Extreme Stress Testにおいては、発熱した状況でも前世代のSnapdragon 8 Gen 1(Adreno 730)より発揮される性能は上です。実ゲームにおける安定性はベンチマークスコア以上に差が開くと思います。
ゲーム性能
今までは”WeTest PerfDog”を使っていましたが、今回からAndroid向けのFPS計測ツール”TakoStats-FPS&Perf overlay”に切り替えてゲームプレイ時の動作(フレームレートなど)を確認します。
当時の予想通り、日本国内ではPerfDogよりもTakoStatsを使ってゲーム性能を計測するレビュアーが増えており、PerfDogとTakoStatsの測定データは≒の関係性ですが、他の方と(条件さえ一致していれば)比較し易く、最低フレームレート(1%)が測定可能、クォーターも気にしなくて良いTakoStatsに統一するべきだと判断しました。
計測時、各端末はそれぞれバッテリー側”バランス”、ゲームターボ側は”パフォーマンス”にて、全てGoogle Play版のアプリを動作させて計測しています。
今まで通り原神に加え、一部から要望のあったメガニケと、私が裏でそこそこ楽しんでいるスターレイルを追加し、この3タイトルを計測します。
勝利の女神:NIKKE(メガニケ)
まずは軽量級な見た目に反して、フレームレートによって交戦中のDPSに差が生じ、fpsの安定性が求められるガンガールRPG「勝利の女神:NIKKE(メガニケ)」でRedmi K60 Pro(Snapdragon 8 Gen 2)をテスト。
尚、メガニケの推奨スペックはAndroid 13/RAM4GB以上/64bit環境しか記載が無く、具体的なスペックや情報に乏しいのが現状です。公式曰く「Android端末は種類が多くて全てのパフォーマンスを把握できない」だそう。
とりあえず私の計測方法は単純で、グラフィック設定(高)/60fpsにて条件を統一するためユニオン射撃場で3回交戦し、720/1080pの平均フレームレートと1080pでモダニア単体のDPSを比較します。
ロードを含めたユニオン射撃場×3の平均フレームレートは720pで56fps、1080pで56.4fpsを記録し、Redmi K60 Pro(Snapdragon 8 Gen 2)がSnapdragon 8 Gen 1から僅差でフレームレートはトップでした。
Redmi K60 Pro(Snapdragon 8 Gen 2)は交戦中、大体57~60fspで動作しバーストの処理が連続的に発生したとき、一瞬だけ51~55fps台まで低下します。
モダニア単体DPSの比較では誤差も生じるため、1080pで56.4fpsを記録したRedmi K60 Proが最大DPSは高い一方で平均・最低DPSでは、Snapdragon 8 Gen 1と大差無い結果になりました。
ただ、メガニケと相性が悪いのかフレームレートが性能の割にイマイチなSnapdragon 7+ Gen 2とは平均DPSで約16%、最低DPSで約13%程度ダメージに開きがあります。無視できる程の小さな差ではありません。
原神(Genshin Impact)
続いて、Snapdragon 845+RAM6GBが推奨ながら実際の要求値は更に高く、カタログスペックやベンチマークスコアだけでは実動作を測れない重量級タイトル「原神(Genshin Impact)」のパフォーマンスを確認。
以前よりモンドでの動作が軽いことを敢えて記し、それが周知されたのか不明ながらスマホ・ガジェットレビュアー=サン達にも伝わったのか、モンドではなくスメールで計測する人が増えたので私の計測内容も更新します。
グラフィック(最高)かつ60fpsで動作させ、テストマップはスメール(千尋の砂漠)を使用、テスト時間を15分からゲーマーが最低でもプレイするであろう”30分”に増やします。軽いモンドはもうテストしません。
螺旋状に渦を巻く”千尋の砂漠”をフィールドエネミーを倒しつつ散策してぐるりと1周すると、大体30分前後になるので計測内容を比較的、揃え易いです。
原神(720p)を30分間プレイし、Redmi K60 Pro(Snapdragon 8 Gen 2)は平均59.1fps、最低(1%)52.4fpsのハイエンドSoCに相応しい圧倒的な結果を叩き出しました。素直に”流石”と言う他ありません。
ここで注目するべきは平均フレームレートではなく、最低フレームレート(1%)で、Snapdragon 8 Gen 2のみが唯一52.4fpsを記録しています。
Snapdragon 8 Gen 1は39.9fps、888に至っては27.8fpsで”元”とはいえハイエンドSoCとしては残念な結果です。
前世代のSnapdragon 8 Gen 1は平均こそ54.4fpsですが…実際は数値程に動作が良くはなく、30~50fpsの間で行ったり来たりして変動値が激しめ、実用性で言えば最低フレームレート(1%)の39.9fpsが実態に近いです。
言い換えれば、Redmi K60 Proが叩き出した最低(1%)52.4fpsはそれだけフレームレートの安定性が高いということの証明でもあり、Snapdragon 8 Gen 2を採用したモデルが原神のプレイにおいて好評な理由でもあります。
崩壊:スターレイル(Honkai:Star Rail)
最後に崩壊シリーズの最新作で、Snapdragon 855(Dimensity 1000)+RAM6GBクラスが推奨スペックの「崩壊:スターレイル(Honkai:Star Rail)」をテスト。一般的には同社(miHoYo)の原神が動くスマホなら問題無いとされています。
が…確かに”ヤリーロ-Ⅵ”や戦闘シーン自体はロード済みな分、原神相当あるいはそれよりも動作が軽く安定していますが…Ver 1.1時点でも”宇宙ステーション「ヘルタ」”と”仙舟「羅浮」”だけは原神より局所的に重いです。
そのため、計測マップには仙舟「羅浮」の星槎海中枢を選択。グラフィック(最高)かつ60fpsにて一定のルートを5分間歩き回り、平均・最低(1%)フレームレートを測定しました。
今回の計測でRedmi K60 Pro(Snapdragon 8 Gen 2)のみが平均58.3fps、最低(1%)47.5fpsを記録し、他を寄せ付けない圧倒的なゲーム性能と安定性を発揮しました。最高設定の星槎海中枢で平均55fps以上は普通に凄いです。
原神では2番手をマークしていたSnapdragon 7+ Gen 2(Adreno 725)すら最低フレームレート(1%)は25.3fpsで、スターレイルでは今まで良いところの少なかったSnapdragon 8 Gen 1(Adreno 730)が、ここに来てGPU単体の自力をわからせています。平均フレームレートは42.5と52.3fpsで大敗を喫していますが。
とはいえ、Snapdragon 8 Gen 2比では他3つの結果はどんぐりの背比べ状態で、約1.75倍(75%)以上も最低フレームレート(1%)に差があります。
ワーストのSnapdragon 888は持病(45℃でのスロットリング)が影響して平均37.6fps、最低(1%)ではたった16fpsしか出せていません。先に述べた通り”5分間”でこれだけの差です。あまりにも大きい。
実ゲームでの電力効率と温度
30分間、原神をスメール(千尋の砂漠)でプレイした際の1フレーム辺りの消費電力から電力効率、最大バッテリー温度から発熱具合を計測し、実ゲームにおける実用性を確認します。
まず、Redmi K60 Pro(Snapdragon 8 Gen 2)は1フレーム辺り96mWの消費で、ワットパフォーマンスの比較ではRedmi Note 12 Turbo(Snapdragon 7+ Gen 2)にやや軍配が上がりました。
これはどちらも製造プロセスにTSMC 4nm”N4”を採用しており、純粋にSoCの設計やCPU/GPUの世代、OSを含めた調整等の様々な要因があるためで、K60 ProとNote 12 Turboの比較において”は”が付け加えられます。
あくまで実ゲームにおける1フレーム辺りの比較であり、1世代新しいSnapdragon 8 Gen 2の方が電力効率が良い結果の場合もあります。とはいえTSMC 4nm”N4”のおかげもあり、どちらも優秀なのは間違いありません。
肝心の前世代Snapdragon 8 Gen 1からは55mWも消費電力が減少しており、それでいて原神でも最低フレームレート(1%)では約31%以上、スターレイルの様なベストケースでは約75%も性能が向上しています。
発熱と安定性に関しても、Redmi K60 Pro(Snapdragon 8 Gen 2)は5000mm²のVC冷却材のおかげもあり、性能の割に44.2℃は抑えられている方です。端末全体に発熱が分散し、背面の体感温度は人肌より”温かい”程度です。
Snapdragon 888は持病(45℃でのスロットリング)があるので懸念する程でないのは当然として、問題はSnapdragon 8 Gen 1で…原神にて49.3℃と50℃近くを記録しており、POCO F4 GTを手で持っていて明確に”熱い”と感じるレベル。言うまでもなくRedmi K60 Pro(Snapdragon 8 Gen 2)の方が発熱面も優れています。
総じて文字通りSnapdragon 8 Gen 1や888に”不出来な旧型”の烙印を押しつける結果になりました。
特にSnapdragon 8 Gen 1とは何だったのかと言いたくなるレベルで、より高性能な8 Gen 2が電力効率と発熱面で優れている結果から見て、Samsung 4nmで製造したことが元凶だったと言っても過言ではありません。
カメラ
ハードウェア
Device Info HWから確認できたRedmi K60 Proのハードウェア構成です。
メインには上位モデルのXiaomi 13やHonor 70 Pro(+)が採用した、比較的大型な1/1.49型のIMX800を搭載しています。OIS対応かつSnapdragon 8 Gen 2採用のおかげで、QDOL4技術を活用可能です。
超広角とマクロは中華端末ではお馴染みのコストカットとして用いられる、8MPと2MPのOmnivision製でK60と全く同じセンサーを搭載しています。フロントも同様でメインカメラ特化型そのものです。
カメラ | センサー |
メイン 50MP(54MP) | Sony IMX800+OIS(1/1.49インチ) |
超広角 8MP | Omnivision OV08B10(1/4インチ) |
マクロ 2MP | Omnivision OV02B10(1/5インチ) |
フロント 16MP | Omnivision OV16A1Q(1/3.06インチ) |
ソフトウェア
カメラソフトウェアは、独自の撮影エンジン”Xiaomi Imaging Brain 2.0”やカスタムフィルム・フレームに対応したMIUIカメラです。本国モデルなのでシャッター音は最初からOFFです。
カメラ | 静止画 | 動画 |
超広角 | ×0.6~0.9 | ×0.6~0.9 |
3264×2448 | 720/1080p30fps | |
広角(メイン) | ×1~10 | ×1~6 |
4096×3072 6144×8192(50MP) | 720p30fps 1080/4K60fps 8K24fps | |
マクロ | ×1~2 | ×1~2 |
1200×1600 | 720p30fps |
簡単な作例と雑感
いつも通り数枚の簡単なサンプルと雑感です。比較には未だに手放せないMi 11i(K40 Pro+)を使用。
ISOCELL HM2(1.52型)のMi 11iだと明るめに撮影した代わりに白っぽくて拡大するとノイズが発生してます。
IMX800(1.49型)で取り込める光量が増えたことで、K60 Proはドロイド君が変な色味なこと以外は見たままに近く黒が黒い写りに。解像感的にはK60 Pro、総合的な色合いはMi 11iって具合です。
この適当なサンプルだと割と差が出て、Mi 11iは真ん中のF4 GTの明るさに合わせて全体がやや暗く、寒色寄りで何撮ってるかイマイチですが、K60 Proは明るさと色合いのバランスが良くマシな写りをしてます。
料理でもIMX800のK60 Proが明るく、同じ条件でも暗めなISOCELL HM2のMi 11iよりは美味しそうに見えます。ちなみに厚揚げの甘じょっぱい煮物です。
ミドルクラスですら1/1.7型以上のセンサーが当たり前になったメインカメラにおいては、風景だったり簡単な物撮り程度なら色味や好みの差くらいで、素人目線からも圧倒的に分かるような違いはこのクラスだと無いです。
マクロカメラは中華端末お得意の2MPの例に漏れず、オブラートに包んで”おもちゃ”です。寄って撮れますが2MPで粗く、ISOCELL 5E9(1/5型)をテレマクロに採用し5MPかつスーパーマクロで撮れるMi 11iに遠く及びません。
日常用途で実用性は皆無ですが、顕著な例としてMi 11iのスーパーマクロ撮影ならディスプレイの配列も撮影できるくらい寄れます。Mi 11iのISOCELL 5E9も特別凄いマクロカメラではないですが、K60 Proは…。
超広角はベンダーが違うだけの8MPで代わり映えしないので置いておいて、K40シリーズで望遠とマクロを兼ねるセンサーが5MPだったのにK50シリーズから2MPにデグレードされ、K60シリーズも据え置きです。
K40シリーズで出来たことが実現不可能なら、2MPのマクロ撮影しか出来ないカメラなんて無駄・無用の長物。付けるにもタダではなくセンサー分のコストは多少発生するため、最初から付けないで欲しいです。
まぁ…Leicaのチューニングが無いとはいえ腐ってもXiaomi 13と同じIMX800ですし、K40・K50シリーズのProモデルから順当に強化され、SoCのISPも進化しているのでメインカメラだけは良くなっているとは思います。
まとめ
良い | 悪い |
・充実の付属品、窒化ガリウム(GaN)充電器も同梱 ・バンド”B1/3/8/18/19/26”対応&VoLTE開放済み ・2K解像度/120Hz/12bit対応のOLEDディスプレイ ・フラットディスプレイかつベゼルが細い ・非常に高速で快適に使える生体認証 ・高速な120W&30Wワイヤレス充電対応 ・Dolby AtmosとHi-Res Audioに対応 ・ステレオスピーカー(CS35L41)で中々の音質 ・高速かつ最新規格のLPDDR5X+UFS 4.0 ・不出来な旧型を圧倒する”Snapdragon 8 Gen 2” ・狂暴引擎と大型VC冷却材でとても安定性が高い ・メインカメラにXiaomi 13と同じIMX800採用 ・Snapdragon 8 Gen 2搭載機では比較的安価 | ・相変わらずUSB 2.0 ・筐体デザインがK40シリーズ程良くはない ・メイン特化で2MPのマクロカメラは”おもちゃ” ・Redmi Kシリーズにしてはやや高価 |
やはりRedmi K60 Proは定番Redmi Kシリーズの最上位モデルなだけあって、Mi 11i(K40 Pro+)で感じた完成度・満足度に匹敵する1台です。購入前はイマイチ気分が乗らなかったですが…結果的に買って良かったです。
パフォーマンスにおいては文句が無く、Redmiシリーズの一部が搭載しているエンジン”狂暴引擎”と5000mm²もある大型VC冷却材のおかげで、Snapdragon 8 Gen 2の性能を引き出しながら安定性がとても高くストレステストは勿論、ゲームテストにおいても優れた結果を発揮しました。
特に原神を30分間スメール(千尋の砂漠)でプレイし平均59.1fps、最低(1%)52.4fps、スターレイルでは最低フレームレートにおいて他の比較機に約1.75倍(75%)以上の差をつけ、ハイエンドに相応しい圧倒的な性能を発揮。
POCO F4 GT(Snapdragon 8 Gen 1)は噛ませ犬どころか、この前Redmi Note 12 Turboにボコボコにされて瀕死のところへ、Redmi K60 Proがオーバーキルで死体蹴りしたようなものです。(奴はハイエンドの中でも最弱…)
基本スペックにおいても、日本で使う場合に重要な”B1/3/8/18/19/26”対応、2K解像度かつ120Hzでフラットディスプレイ、有線120W&30Wワイヤレス充電対応、Dolby Atmos対応のステレオスピーカー採用で高水準です。
人気だったK40シリーズから一部は劣化している点、せっかくUFS 4.0のストレージを採用したのに相変わらず、ProモデルでもUSB 2.0なこととRedmi Kシリーズにして少し高めなこと以外は欠点が少ないです。
惜しい点として、姉妹機でこちらもかなり完成度の高いRedmi K60(POCO F5 Pro)の方に人気が集中し、K60 Proは中国市場限定なのも相まってかなり影が薄いです。
コメント
ブートローダーアンロックの待機時間は機種ではなくアカウントごとに決定されます。同じアカウントを使って連続でアンロックしていくと時間が増えていきます。最大は年中アンロック不可にされたり今後ずっと不可能にされることもあります
あ…そんな制限あるって話でしたね。
今年まだk60pro含め3機種しかやってないので、5台くらいで一気に増えるかと勝手に想像していました。
情報ありがとうございます、訂正しておきます。