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Redmi K60 Ultra(至尊版)レビュー:Dimensity 9200+のゲーム性能や電力効率を検証

Xiaomi 13T Proとして日本市場にも投入された、Dimensity 9200+を搭載するベースモデルのRedmi K60 Ultraをレビュー・性能を検証します。

2023年の夏に出たばかり(13T Proとしてはわりと最近)なのに、既に型落ちかつ旬は過ぎましたが…せっかく手に入れたので、いつも通り電力効率とかゲーム性能も気になるので色々と遊んでみます。

スペック・仕様

Redmi K60 Ultra/至尊版(23078RKD5C:コードネームcorot)
OSMIUI 14(Android 13ベース)
SoCDimensity 9200+(TSMC 4nm N4P)
外部処理装置Pixelworks X7
メモリ12/16/24GB(LPDDR5X)
ストレージ256/512GB/1TB(UFS 4.0)
ディスプレイ6.67インチ OLED
(1220×2712/60~144Hz)
サイズ162.15×75.7×8.49mm
重さ204g
バッテリー5000mAh(Hyper Charge 120W/PD 3.0)
カメラ50MP(メイン:Sony IMX800+OIS 1/1.49型)
8MP(超広角:Sony IMX355 1/2.8型)
2MP(マクロ:GalaxyCore GC02M1 1/5型)
20MP(フロント:Sony IMX596 1/3.4型)
インターフェースUSB Type-C(USB 2.0:480Mbps)
nanoSIM×2
オーディオステレオスピーカー
Dolby Atmos
Hi-Res Audio(192000Hz)
接続規格Wi-Fi 6E(802.11a/b/g/n/ac/ax:2.4/5/6GHz)
Bluetooth 5.4
NFC
防水・防塵IP68
セキュリティ画面内指紋認証/顔認証
備考・Redmi K60 Ultra≒Xiaomi 13T Pro(どっちもコードネームはcorot)
・13T Pro=Pixelworks X7が去勢された変わりに、カメラと使い勝手を重視したモデル
・K60至尊版=中華遊戯特化型手机兼、一加Ace 2 Pro・真我GT5の引き立て役…?
・”至尊版”とは中国でのExtreme Editionのこと
(スペック参考元:mi.com/GSMArena)

開封・内容物

Dimensity 9200+搭載機で唯一ブートローダーアンロックが可能なので、検証用として京東で11月に買いました。他のことを優先した&K60 Ultraそのものには大して興味が無かったので、BLU後は最近まで放置してました。

2399元で当時確か5万円弱…今は同じものが5万円以下で買えるうえ、13T Proが思いの外安い。

K60シリーズ自体が既に型落ちなのもありますが、個人的にRedmi Kシリーズの中でもK60系はK40の頃と比べてなんかパッとせず、POCO F5 Pro化したK60以外は物好きしか買ってない印象。

13T ProとK60 Ultraは、12T ProとK50 Ultraの時よりも同一存在だけど別個体化が強くなっているので、POCO F5 ProとK60の関係性とはまた少し違うイメージ。13T Proはそれなりに人気な気がします。

3分で作った適当なK60系のイメージ。(K60Eがジャギの様にネタで愛されてるかは考慮しない)

京東で買ったので綺麗な状態で届きました。中身は買ってすぐに使えるXiaomiスターターセット。フィルムやケースのブースターパックを買わなくて良いのは毎回有り難いです。

パッケージ内容
・Redmi K60 Ultra
・ACアダプター(5V3A-20V6A/最大120W)
・USB Type-A to Cケーブル
・TPUクリアケース
・TPU画面保護フィルム(本体貼付け済み)
・SIMピン
・マニュアル類

外観

K60 Proで白を選んだので、K60 Ultraは黒にしました。黒のみストライプ風のデザインが入ってます。

前面はフラット、背面はフレーム側に向けてややラウンドした形状で比較持ちやすいです。ただし、光沢のあるパネルなのでテッカテカ、指紋も付きやすいです。

Redmi K60 Ultraの重さは約207gでした。…黒なので反射が酷い。

ブラックなのでマシですが、申し訳無いけどK60 Ultra(と13Tシリーズ)のデザインは好きでは無いです。下手にXiaomi 13シリーズっぽいカメラ部分だけ浮いていて、Pixelのバー型デザインがマシに見えます。

シンプルなカメラ周りやマット加工の背面パネルを採用したモデルのデザインが好きなので、正直…XiaomiにはK40シリーズやXiaomi 12Sシリーズのデザインレベルに戻って欲しいような…。

まだRedmi K60 Proの方が一応はスッキリしていて、K60 Ultraよりマシなデザインだと思うんですけど…。

ソフト・ハードウェア

OS:MIUI 14→Xiaomi HyperOS化

元々はAndroid 13ベースでMIUIの中では使いやすい方だったMIUI 14を搭載していました。が…良くも悪くも中国版のRedmi K60 Ultraなので、BLU後の放置している間にXiaomi HyperOSが降ってきやがりました。

本来は中国版なのでadbコマンド”settings put system system_locales ja-JP”を叩いて、疑似日本語環境の構築をゴニョゴニョする必要があります。支援者になればcorot(K60 Ultra/CNベース)向けのeuROMもありますが…。

MediaTek搭載Xiaomi機のためだけに支援者になる旨味が微妙なので、私はAndroPlus=サンのモジュールを購入して疑似日本語化しています。何かしら参考にさせて貰ってるので…。古い物なら公開されてたはず。

CN ROMのままならadbを叩くよりニアバイシェア等も使用可能になるモジュールを入れた方が良いです。可能なら購入した方が本人も喜ばれるでしょうし、結果的にAndroid関連の発展に繋がると思います。

ブートローダーアンロックの懲役はMIUI 14で行った際に168時間でした。Magiskを導入する際はinit_boot.imgを”fastboot flash init_boot_a”等で、直接パーティションを指定する必要がありました。

色々話題になったHyperOSについては、他の人が感じているのと大体は同じ感想です。

K60 Ultra自体がメモリ12GBなのもありますが、確かにHyperOSはちょっと軽量化されているっぽく、システム+原神+スタレ+メガニケのデータDLを同時に実行しても、2.5GB程度空きがありタスクが落ちることもなく。

アニメーションもMIUI 14よろしく軽快で、目に見えた変化は見た目程度ですが…悪くはなく、これでroot無しで10秒警告やらMIUIの面倒くさかった部分も変えてくれたら、もっと良いと思えるのに…。

root後にCustoMIUIzer(Pengeek)を導入すると弱点を補えます。WooBoxやFastboot Toolsが無くても、Pengeek1つで警告スキップやシステムアプリの状態制御(無効化)ができ、便利になりました。

素の状態(root未取得)でCN版のHyperOSをメインで使いたいとは微塵も思えないですが、Magiskモジュール+各Modを入れる前提であれば、おもちゃやサブとしてはCN版のHyperOSも悪くないです。

ディスプレイ:CSOT C7発光材を採用したフラットな1.5K

Redmi K60 Ultraは6.67インチで、1.5K解像度(1220×2712)のフラットな有機ELディスプレイを採用しています。サブピクセルはダイヤモンドピクセル配列です。

ピーク輝度2600nitと比較的明るく、Xiaomi 13 Ultraで採用のあるCSOT C7発光材が使用され、1.5K解像度+12bit表示で高精細かつ色鮮やかなディスプレイはわりと気に入っています。…ベゼル幅だけ少し古い印象。

(壁紙:https://www.pixiv.net/artworks/113058373)

最大144Hz駆動のリフレッシュレート、タッチサンプリングレートは480Hz、アスペクト比は20:9、PPIは446でDolbyVisionやHDR10(+)、HLGに対応しています。色彩設定などは従来のRedmi Kシリーズ同様です。

ディスプレイスペック・リフレッシュレート
色彩設定など

Touch Sample Rate Testerでのタッチサンプリングレート計測結果は以下の通りです。

Touch Sample Rate Testerでの計測
【通常時】
Input Event Invoke Rate:125Hz
Movement Rate:240Hz
【ゲームターボ有効時】
Input Event Invoke Rate:124Hz
Movement Rate:479Hz

Redmi K60 UltraのWidevine セキュリティレベルはL1で、prime videoなどの動画ストリーミングサービスで高画質な再生が可能です。

Widevine セキュリティレベル(L1):prime video 720p以上可

生体認証:快適

Redmi K60 Ultraは画面内指紋認証とインカメラを利用した顔認証に対応しています。認証精度・速度どちらもスムーズで生体認証に不満は無いです。

充電:Xiaomi Hyper Charge 120W対応

Redmi K60 Ultraは”Xiaomi Hyper Charge 120W”での急速充電に対応しており、純正のACアダプターとケーブルが付属しています。

AVHzY C3(YK-003C)とSHZUKU TOOLBOXで簡易計測してみると、最大で92W前後が出力されており、バッテリー残量5%から95%までXiaomi Hyper Charge 120Wで充電した場合、所要時間は約17分でした。

AVHzY C3+SHZUKU TOOLBOXで充電時間の簡易計測(5%→95%)
Xiaomi Hyper Charge 120W
所要時間:17分23秒
最大電圧:19.0621V
最大電流:5.0597A
最大出力:92.6567W

汎用的なUSB PD対応のACアダプターでの場合も確認すると、OnePlus SUPERVOOC 100W デュアルポート充電器では、USB PD 3.0(PPS)のネゴシエーションがされて25W前後が供給されていました。

K60 Ultra(と13T Pro)は恐らくですが、Redmi K40シリーズ同様に25W前後のPD(PPS)に対応していると思います。

基本的にXiaomi Hyper Charge 120Wで充電するのがベターですが、万が一の場合でもPD(PPS)25W程度であれば間に合せには使えます。

オーディオ

サウンド効果

Redmi K60 Ultraは従来製品同様に、サウンド効果としてDolby Atmos・Miサウンドに対応しています。Dolbyエフェクトとしてプリセットやイコライザーから調整可能で、Dolby Atmos自体のON/OFFも切り替えられます。

ハードウェア

独自エンジン採用の音楽プレイヤーNeutron Music Playerで、Redmi K60 Ultraの再生可能な周波数を確認します。

周波数は固定されておらず、ドライバー設定にも「Hi-Res系の出力を許可する」項目は非表示で、周波数設定から44100~192000Hzに任意で出力変更が可能でした。

最近はめっきり使う人を見かけませんが…アナログ型のUSB Type-C to 3.5mm変換アダプターをそのまま使えたため、Redmi K60 Ultraはアナログ出力が可能です。

Redmi K60 Ultra:再生可能周波数(デフォルト設定)
周波数Speaker:44100/48000/96000/192000Hz
Line-out:44100/48000/96000/192000Hz
アナログ出力可能(DAC非搭載の変換アダプターもOK)

ネイティブ192KHz(24bit)のWav音源を再生して、”なんちゃってハイレゾ対応”では無いことを確認すると、ゲイン80の状態でもノイズや出力低下は発生せず、しっかり再生できました。

Redmi K60 Ultra:ハイレゾ音源再生テスト

ステレオスピーカーの音質は普通です。手持ちだとPOCO F4 GTとは勝負にならず、Pixel 6と大差無し。

低域寄りの印象で下部のスピーカー側から出る音の方が大きく、左右のバランスが若干悪いです。Dolby Atmosで何とか臨場感や迫力を補っている感じで、高域などの音抜けが悪く少し籠もったように聴こえます。

Bluetoothコーデック

Bluetooth Codec Changerで、Redmi K60 Ultra側がサポートしているコーデックを確認すると、LHDC V5(_V3/V2)/LDAC/aptX(HD)/AAC/SBCに対応していました。

Dimensity 9200+について(スペック・仕様)

いつも通り、ベンチマークの前に採用したSoCの簡易的な解説などを先にします。比較表にはベースであるDimensity 9200、9200の先代であるDimensity 9000を入れました。

SoCスペック・比較/構成解説表(仮)
SoC
Dimensity 9200+Dimensity 9200Dimensity 9000
プロセスノードTSMC 4nm(N4P)TSMC 4nm(N4P)TSMC 4nm(N4)
CPU8C8T8C8T8C8T
X3×1:3.35GHz
A715×3:3GHz
A510×4:2GHz
X3×1:3.05GHz
A715×3:2.85GHz
A510×4:1.8GHz
X2×1:3.05GHz
A710×3:2.85GHz
A510×4:1.8GHz
L3キャッシュ8MB
(SLC:6MB)
8MB
(SLC:6MB)
8MB
(SLC:6MB)
GPUImmortalis-G715 MC11
(1150MHz)
Immortalis-G715 MC11
(981MHz)
Mali-G710 MC10
(848MHz)
NPU(DSP)APU 690APU 690APU 590
ISPImagiq 890
(Triple 18bit)
Imagiq 890
(Triple 18bit)
Imagiq 790
(Triple 18bit)
メモリLPDDR5X
(4266.5MHz)
LPDDR5X
(4266.5MHz)
LPDDR5X
(3750MHz)
LPDDR5
(3200MHz)
ストレージUFS 4.0UFS 4.0UFS 3.1
通信モデムMediaTek
M80(?)
MediaTek
M80
MediaTek
M80
接続規格Wi-Fi 7
Bluetooth 5.3
Wi-Fi 7
Bluetooth 5.3
Wi-Fi 6E
Bluetooth 5.3
内部コードMT6985T(?)MT6985MT6983
(参考元:ReaMEIZU=サン/Geekerwan=サン)

Dimensity 9200+は2023/5/10に発表されたDimensity 9200の性能向上版です。iQOO Neo8 Proが初搭載し、Redmi K60 Ultraが2番目。今の所中国以外ではK60 Ultraのグローバル版である13T Proのみが採用。

プロセスノードにDimensity 9200(と+)はTSMC N4の改良版で、第2世代と言われているN4Pを採用しており、TSMC N4を採用したライバルである、Snapdragon 8 Gen 2(と領先版)より技術的には優れています。

CPUはDimensity 9200からプライマリコアのCortex-X3が3.35GHzに、高性能コア3基のA715が3GHzに、高効率コア4基のA510が2GHzに引き上げられています。A510はAArch32対応の俗に言うv2やRefresh版です。

GPUには981MHzから、驚愕の1GHzを超えて1.15GHzに引き上げられたImmortalis-G715 MC11を搭載。

メモリはLPDDR5X(4266.5MHz)、ストレージはUFS 4.0をサポート。ISPはImagiq 890、NPU(DSP)にAPU 690を搭載しており、Dimensity 9000系から着実に向上していることが見受けられます。

ベンチマークテスト

テスト端末・環境構成
端末Redmi K60 Ultra
OnePlus Nord 3 5G
Redmi K60 Pro※¹
POCO F4 GT※¹
Xiaomi Mi 11i※¹
Pixel 8 Pro※¹
OSAndroid 14(Xiaomi HyperOS:1.0.7.0.UMLCNXM)
Android 13(OxygenOS 13.1)
Android 13(Xiaomi.eu 14)
Android 13(Xiaomi.eu 14)
Android 13(crDroid v9.9)
Android 14(UD1A.230803.041)
SoCDimensity 9200+
Dimensity 9000
Snapdragon 8 Gen 2
Snapdragon 8 Gen 1
Snapdragon 888
Tensor G3
メモリ12GB(LPDDR5X)
16GB(LPDDR5X)
8GB(LPDDR5X)
8GB(LPDDR5)
8GB(LPDDR5)
12GB(LPDDR5X)
ストレージ256GB(UFS 4.0)
256GB(UFS 3.1)
256GB(UFS 4.0)
128GB(UFS 3.1)
128GB(UFS 3.1)
256GB(UFS 3.1)
備考・動作/制御:CPU/GPU定格動作(パフォーマンスモードON)
・ディスプレイ駆動:120Hz固定(K60 Ultra/144Hz)
・ディスプレイ輝度:各端末での50%固定
・通信環境:Wi-Fi5(5GHz接続)
・室温:18℃
※¹(Pixel 8 Proのレビュー記事内で使用したデータを流用)

比較対象にはDimensity 9200+と来たらまず、Snapdragon 8 Gen 2が真っ先に上がると思うのでK60 Proは確定。

9200の先代であるDimensity 9000も外せない存在なのでOnePlus Nord 3 5G、日本市場でも人気だったXiaomi 11T Pro(Snapdragon 888)から、13T Proに乗り換えを検討する人もいると思うのでMi 11iも投入。

構成だけならDimensity 9200に近い存在かつ差が少し気になるので、Pixel 8 Pro(Tensor G3)のデータも流用。あとはいつも通り、かませ犬にF4 GT(Snapdragon 8 Gen 1)を入れた6端末のデータで比較します。

消費電力やフレームレートを測定するツールには、いつも通りScene(TOOLBOX-SCENE)を利用。

Geekbench

CPU性能を計測するGeekbench 6の結果です。AndroPlus=サンのパッケージリネーム版でも大幅なスコア低下は無く、Redmi K60 UltraはGeekbench 6ではベンチマークブーストをしていないと思われます。

Geekbench 6
通常版(6.2.2)パッケージリネーム版(6.1.0)
計測結果(6.1.0)
Redmi K60 Ultra
(Dimensity 9200+)
シングルコア性能:1931
マルチコア性能:4590
最大消費電力:10.8W

Dimensity 9200+のシングルコア性能は1931…Cortex-X3が3.35GHz駆動で1931…?、マルチコア性能は4590で、Dimensity 9000から約3%の向上…Tensor G3を少し上回りますが、Snapdragon 8 Gen 2に…。

結果の時点で違和感を覚えた読者=サンは鋭いです。これはDimensity 9200+本来の実力ではなく、ReaMEIZU=サンの記事内では9200+が5600以上、9200が5300以上で少なくとも8 Gen 2に匹敵するはずです。

とりあえずBLU後のK60 Ultra(Xiaomi HyperOS)をroot化したので、いつも通りCPU動作クロックを大/中/小に区分けした”電力効率区分”を計測、Dimensity 9200+を加えたグラフを作成します。

各SoCの区分けした動作クロックのマルチコアスコアと消費電力、ワットパフォーマンス(スコア÷消費電力)は以下のグラフの通りです。

Dimensity 9200+のCPU電力効率は、Snapdragon 8 Gen 2に引けを取らない良好なパフォーマンスです。

中周波数はSnapdragon 8 Gen 2と互角、低周波数ではDimensity 9200+が効率スコア570を超えてトップに。

ピークの効率スコア425はあくまで4590で計算した場合で、仮に本来の5600前後に近いスコアが出せていればスコアは520前後、8 Gen 2の少し後ろをマークします。Geekerwan=サンの計測結果に近い傾向です。

本来のピーク値でなくてもSnapdragon 888やTensor G3より圧倒的に電力効率は良く、K60至尊版だとこうだった…程度の問題で、K60 Ultraで値があまり良くない=Dimensity 9200+が良くないとは思えません。

まぁ…Redmi K60 UltraのDimensity 9200+が、本来のDimensity 9200+とは違った結果になった原因が何なのか気になるので、HyperOS・MIUI以外の環境だとどうなるのか軽く試しました。後発のレビューでそのままにしておくのもアレですし、少しだけモヤッとしますので…。

最初はHyperOS(と構築した環境)そのまま、Android 14のGSIをDSU-Sideloaderでお試しするつもりでしたが、相性問題で起動するOSが限られ、唯一起動したProject Elixir(GSI)もOSの起動アニメーションから延々と進まず、一度は強制再起動して、起動失敗からHyperOSに戻れたのですが…。

2回目以降はGSIを起動→何故か起動してしまう(起動アニメーションだけ)→動的パーティションの破棄ができない→HyperOSに戻れない→アクティブスロットの変更やflash_all_except_storage←破棄していないのでGSIの起動フラグから抜け出せない→HyperOSに戻れない→GSIの起動アニメーションだけ延々と動く…以下ry。

で…ストックROMを焼き直す以外、何もできなくなったので諦めてArrowOS(GSI)を普通に焼きました。パッチしてないinit_boot.imgを焼いても、GSIの起動が予約済みなのかrootで動かしたDSUより、GSIの起動が優先されるとは…。それでもROMを焼き直せばサクッと元に戻るので、Xiaomi端末は検証機として優秀だったのに…。

少し脱線しましたが、ArrowOS(GSI)を焼いたうえでサーマルスロットリングを無効化し、ガバナーをPerformanceに変更、動作クロックを全コア最大化してGeekbench 6を実行しました。

Redmi K60 Ultra:ArrowOS GSI(Android 13)
・サーマルスロットリング:無効化
・動作クロック:全コア最大クロック
・ガバナー:Performance
シングルコア性能:1970
マルチコア性能:4861

結果として、通常ではありえない環境下でテストしてもDimensity 9200+本来の性能は発揮されていない様子で、HyperOS・MIUIのバグではなく、Redmi K60 Ultra(Xiaomi 13T Pro)そのもの or Geekbench 6の値が(よく分からんが)正常に出ないだけだと思います。

K60 Ultraだけでなく13T Proもcorotな影響なのか、調べた限りGeekbench 6のスコアがやや低い傾向です。何故か知りませんが、大手のXiaomi 13T Proのレビューを含めこのことに触れてる媒体がほぼ無い…。

まぁ…別にスコアが出てなくてもタヒにはしませんが、Dimensity 9200+にしてはスコアが低いと感じていたら、Redmi K60 Ultra(とXiaomi 13T Pro)は何かそういうものです。

3DMark

3840×2160の解像度でVulkan APIを用いてGPU性能を計測するベンチマーク、3DMark Wild Life ExtremeでRedmi K60 Ultra(Dimensity 9200+)はスコア3695でした。

3DMark Wild Life Extreme(パッケージリネーム版)
計測結果
Redmi K60 Ultra
(Dimensity 9200+)
Overall score:3695
最大消費電力:14.2W

1.15GHzに引き上げられたDimensity 9200+(Immortalis-G715 MC11)のGPU性能は凄まじく、Snapdragon 8 Gen 2(Adreno 740)以上の性能を発揮。Dimensity 9000(Mali-G710 MC10)から約55%も向上しています。

…もちろん、消費電力と引き換えに。Wild Life Extreme実行時の最大消費電力は驚異の14.2Wで、GPUの電力効率が非常に悪いSnapdragon 888の11Wを軽く超えてきました。Tensor G3の8.3Wが可愛く感じます。

Dimensity 9200+(Immortalis-G715 MC11)のピーク時における、GPUの電力効率はSnapdragon 8 Gen 2に少し遅れ…るどころか、Dimensity 9000やTensor G3より悪く、8 Gen 1と効率を争って負けるレベルに…。

性能も凄いが…消費電力も凄い「力こそパワー!」を地で行くGPUです。

Snapdragon 888よりはマトモですし、あくまでピーク時での比較なので、実際はGPU使用率99%に張り付きでもしない限り酷すぎるわけではないです。実ゲームでの電力効率は各タイトルと動作周波数次第です。

PCMark for Android

Webブラウジングや写真・動画編集、データ操作といった一般的なタスクでの性能を計測する、PCMark for Android(work 3.0)でRedmi K60 Ultra(Dimensity 9200+)はスコア13766でした。

PCMark for Android work 3.0(パッケージリネーム版)
計測結果
Redmi K60 Ultra
(Dimensity 9200+)
Performance score:13766

ある程度普段使いでストレス無く使用可能なスコア8~9000前後を超え、快適と言えるスコア10000以上なので普段使いは全く問題ないです。

mozilla kraken 1.1

シングルスレッド性能の差が反映されやすく、ブラウザ上で動作するmozilla kraken 1.1でWebブラウザの処理速度をテストします。単位はミリ秒(ms)で1000msを下回っていれば実用的な結果です。

Kraken JavaScript Benchmark (version 1.1)
計測結果
Redmi K60 Ultra
(Dimensity 9200+)
合計処理時間:770.2ms

Redmi K60 Ultra(Dimensity 9200+)の合計処理時間は770.2msで、重たいWebページでも単純計算だと約0.8秒で処理が可能。どうにもDimensityとmozilla kraken 1.1はあまり相性が良くないようです。

とはいえ…どのSoCも1000msを下回っているので、webブラウジングで実用上は無問題です。

CPDT Benchmark

クロスプラットフォーム対応のCPDT Benchmarkで、モバイル端末でも非常に重要なストレージ・メモリ速度を計測します。テストのファイルサイズは1GB、BufferingやCacheはOFFの標準設定です。

CPDT Benchmark
計測結果
Redmi K60 Ultra
(UFS 4.0/LPDDR5X)
Sequential write:996.24MB/s
Sequential read:1.03GB/s
Random write:55.38MB/s
Random read:28.39MB/s
Memory copy:13.14GB/s

Redmi K60 Ultra(UFS 4.0)はシーケンシャルライト996.24MB/sでUFS 4.0相応、シーケンシャルリードは1.03GB/sで普通。

ランダムアクセス性能はランダムライトで55.38MB/sとトップクラスの速度ですが、ランダムリードは28.39MB/sで並程度。読み込みより書き込み性能を重視した調整がされている…という印象です。

メモリコピー性能は13.14GB/sで、LPDDR5Xにしては微妙な結果になりました。

MLPerf Mobile Inference benchmark

業界標準団体”MLCommons”が公開している機械学習性能のオープンソースベンチマーク、MLPerfのモバイル版”MLPerf Mobile Inference benchmark v3.0”で、機械学習(AI)性能をテストします。

画像分類・物体検出・画像セグメンテーション・言語理解・超解像・オフラインでの画像分類の6つを約30分間掛けて実行する長いベンチマークです。

MLPerf Mobile Inference benchmark v3.0
計測結果
Redmi K60 Ultra
(Dimensity 9200+)
Image Classification:1425.4
Object Detection:726.1
v2.0 Image Segmentation:449.9
Languge Understanding:65.6
Super Resolution:86
Image Classification(offline):5777.3

テスト項目と結果の桁が多いので、Redmi K60 Ultra(Dimensity 9200+)の結果を含めたグラフを分割します。

MLPerf MobileにおけるDimensity 9200+の機械学習(AI)性能は、良くも悪くもDimensity 9000を順当に強化した性能といった印象です。OnePlus Nord 3 5Gで感じた通り、Dimensity系はMLPerf MobileのImage Classification(offline)処理に強いようです。

RealSR-NCNN-Android

機械学習性能を計るベンチマーク結果だけ見ても、差があるのは分かりますが…正直「?」状態です。いつも通り簡単なAI性能テストとして、機械学習(AI)を用いた画像のアップスケーリングをテストします。

Real-ESRGANベースのシンプルなアプリ”RealSR-NCNN-Android-GUI”を使い、1080×1920(FHD)の画像1枚をモデル”real-esrganv3-anime”でGPUを使って処理させ、アップスケーリング後にResultで確認できる合計処理時間(秒)で比較します。

RealSR-NCNN-Android:アップスケーリングテスト
計測結果
Redmi K60 Ultra
(Dimensity 9200+)
real-esrganv3-anime-x2(GPU):9.04秒
real-esrganv3-anime-x4(GPU):19.71秒

1080×1920(FHD)の画像をGPUで処理して2倍の2160×3840(4K)、4倍の4320×7680(8K)にアップスケーリングした場合、パワフルなGPU性能のDimensity 9200+はSnapdragon 8 Gen 2を超えて最速を記録。

Dimensity 9000の結果からDimensityが苦手とする部類に思えた、RealSR-NCNN-Androidでのアップスケーリングで、性能相応の実力を発揮して他のSoCを捻じ伏せました。Immortalis-G715…普通に凄い。

第4世代ValhallアーキテクチャーなTensor G3(Mali-G715)と、Dimensity 9200+(Immortalis-G715)の結果を踏まえると、単に第3世代のDimensity 9000(Mali-G710)が苦手 or アーキテクチャーの差がついた結果とも…。

CPU・GPUストレステスト

CPU Throttling Test

性能100%を基準に、発熱による性能低下時のCPU性能や安定性を計測できるストレステスト、CPU Throttling Testを最大負荷の100スレッド、20分間実行して安定性を確認します。

CPU Throttling Test (100スレッド:20分間)
計測結果
Redmi K60 Ultra
(Dimensity 9200+)
CPU Throttling:78%
最大バッテリー温度:42℃

Redmi K60 Ultra(Dimensity 9200+)のCPU Throttling Testでの安定性は78%でした。20分後の最大バッテリー温度は42℃でCPU側の発熱は普通です。スロットリングが緩めな傾向の姉妹機(K60 Pro)より低発熱です。

3DMark Wild Life Extreme Stress Test

20ループのGPU負荷テスト、3DMark Wild Life Extreme Stress TestでGPUの安定性を確認します。

3DMark Wild Life Extreme Stress Test(パッケージリネーム版)
計測結果
Redmi K60 Ultra
(Dimensity 9200+)
Wild Life Extreme(Best):3225
Wild Life Extreme(Lowest):2299
最大バッテリー温度:43℃

Redmi K60 Ultra(Dimensity 9200+)は最大スコア3225、最低スコア2299で安定性は71.3%でした。

単発での最大性能はSnapdragon 8 Gen 2(Adreno 740)と同等以上ですが、消費電力相応の安定性といった結果で8 Gen 2程は流石に性能を維持できないようです。

20ループ後もDimensity 9000(Mali-G710)の最大性能に近い値をマークしてますし、大半のスマホゲーはCPUか最適化がネックになり、GPUを積極的に使うのは一部のみなので大きな問題ではないと思います。

最大バッテリー温度は43℃で14W超えの消費電力故に懸念していた程、Dimensity 9200+(Immortalis-G715)は爆熱ではないと思います。(リネーム版のように適切なスロットリングがされていれば)

ベンチマークでしかその性能を発揮できないTensor G3や、爆熱でその名を轟かせたSnapdragon 8 Gen 1・888などのSamsung製SoCに比べれば、性能相応といえるDimensity 9200+は圧倒的にマシです。

何れにせよ、CPU Throttling Testと3DMarkでのストレステストは使用率99(100)%に張り付いた状態、非現実的な使用下での安定性や持続力を見れるだけなので「酷使したらこんなもんかな」程度のテスト結果です。

ゲーム性能

勝利の女神:NIKKE

フレームレートによってDPSに差が生じ、フレームレートの安定性が重要となるガンガールRPG「勝利の女神:NIKKE(メガニケ)」での性能をテスト。テストに採用したタイトルの中では中量級です。

コアさえ破壊すれば胴体を撃つだけで良く、最もランダム要素を排除して動作を揃えやすいため、迎撃戦(特殊個体:モダニア)でテストしています。動作検証なのでモダニアは普通にバースト(残滅モード化)させます。

あと、戦闘狂の指揮官以外はクイック戦闘で消化すると思うので計測は1回です。逆に1回目の時点で平均50fpsを越えない場合、ストーリーの攻略や日課の消化にすら使い物にならないという目安にもなります。

迎撃戦(特殊個体:モダニア)
計測結果
Redmi K60 Ultra
(Dimensity 9200+)
平均フレームレート:55.4fps
最低フレームレート(1%):45fps
平均消費電力:4.2W
最大バッテリー温度:28.8℃

迎撃戦(特殊個体:モダニア)でのフレームレートは平均55.4fps、最低(1%)で45fpsを記録し、私が目安に設けている性能基準を超えました。Snapdragon 888を上回り、Snapdragon 8 Gen 1にもう少しで届く結果です。

メガニケはSnapdragon以外だと最適化の影響があり、Dimensity 9000やTensor G3ではSoCのポテンシャルを完全には活かせず、タクティカルな動きを期待できない部類のアプリでした。

ようやくDimensity 9200+でSnapdragon 8 Gen 1に届く程度の結果ですが…Dimensity 9000から約1.2倍フレームレートが向上しており、モダニアのバースト中でも48~51fpsは維持できるのでまだ使い物になります。

動作中の消費電力は平均4.2W、フレームレートもそれなりに出ていたので、1フレーム辺りの消費電力は75.6mWとかなり良いです。メガニケの動作負荷は中量級なので消費電力も低め、バッテリー温度も上がりにくいです。

原神(Genshin Impact)

Snapdragon 855+メモリ6GBクラスに推奨スペックが引き上げられた「原神(Genshin Impact)」での性能をテスト。現在の水準だと原神はやや重め程度のタイトルです。(最重量級ではない)

mihoyoがリリースしたゲームタイトルは、デバイスごとにレンダリングする解像度を変える法則性があるので、先にRedmi K60 Ultraのレンダリング解像度をいつも通りCR²FSで簡易的に調べます。

…といっても、K60 Ultra自体が基準値とも言えるのでざっくり。K60 Ultraはデフォルトだと720p、ゲームターボ(高品質)を有効にすると、ネイティブ解像度である1920×864でレンダリングされます。

(Android版)原神:レンダリング解像度《渲染分辨率》※参考程度
Redmi K60 Ultra(デフォルト)
実行解像度:1920×864CR²FS:19段(レンダリング精度:高)
レンダリング解像度:720p(Android標準)
Redmi K60 Ultra(ゲームターボ:高品質)
実行解像度:1920×864CR²FS:22段(レンダリング精度:高)
レンダリング解像度:864p(ネイティブ)

原神のテストはいつも通り、スメールシティを夜蘭の元素スキルでランニングし続ける”スメールシティ/夜蘭C1ランニング”です。夜蘭(C1)で約4分間のルートを最高画質+60fps設定で15分間走行して計測。

スメールシティ/夜蘭C1ランニングテスト/15分間
計測結果
Redmi K60 Ultra
(Dimensity 9200+)
平均フレームレート:58.2fps
最低フレームレート(1%):48.6fps
平均消費電力:6.3W
最大バッテリー温度:37.4℃

K60 Ultra(Dimensity 9200+)の動作は平均58.2fpsで、59fpsのSnapdragon 8 Gen 2(K60 Pro)に迫るかなり良い結果です。最低(1%)も48.6fpsで720pの原神を安定してプレイできます。

Dimensity 9000やSnapdragon 888から約1.2倍前後、原神と相性が悪いとはいえ…結果の良くないTensor G3とは約2.4倍も平均フレームレートに差があります。

GPUよりCPU重視な原神だと消費電力は平均6.3W、1フレーム辺りの消費電力は108mWでDimensity 9200+のワットパフォーマンスは、Snapdragon 8 Gen 2と同等以上の良好な結果です。最大バッテリー温度も37.4℃と抑えられています。K60 Ultra本体もちょっと温かい程度でした。

崩壊:スターレイル(Honkai:Star Rail)

Snapdragon 855・Dimensity 1000+メモリ6GBクラスが推奨スペックながら、同水準な原神よりも重たい「崩壊:スターレイル(Honkai:Star Rail)」での性能をテスト。

原神と同様に、スターレイルもデバイスごとにレンダリングする解像度を変える法則性があるので、先にK60 Ultraの実行解像度とレンダリングピクセル数を中華圏で採用されている方式で調べます。

K60 Ultraのスターレイル実行解像度は最高画質で1680×755、総レンダリングピクセル数は126.8万です。基本値の1680×756から僅かにピクセル数が減っていますが、品質や動作への影響は軽微です。

崩壊:スターレイル:レンダリングピクセル数《渲染像素数》※参考程度
Redmi K60 Ultra
実行解像度:1680×755総レンダリングピクセル数:126.8万
参考・基本値(1680×756)
・Redmi Note 12 Turbo
・Xiaomi 13 Pro
・OPPO Find X6 Pro…等
総レンダリングピクセル数:127万

スターレイルのテストはいつも通り、GPU負荷の重い仙舟「羅浮」の星槎海中枢をグラフィック(最高)+60fps設定で、一定のルートを時計回りに15分間歩き回りフレームレートを測定。

崩壊:スターレイル:仙舟「羅浮」(星槎海中枢/15分間)
計測結果
Redmi K60 Ultra
(Dimensity 9200+)
平均フレームレート:53.5fps
最低フレームレート(1%):42fps
平均消費電力:8.2W
最大バッテリー温度:42.6℃

K60 Ultra(Dimensity 9200+)は平均53.5fpsで、同じArm系のTensor G3やDimensity 9000から約1.5倍程度フレームレートが向上。ざっくりSnapdragon 8+ Gen 1未満で7+ Gen 2以上の結果です。

最低(1%)も40fps以上で、Snapdragon 8 Gen 2に少し劣るものの、スターレイルは大部分がターン制で進行するのでDimensity 9200+でも問題ないです。Dimensity 9000や8 Gen 1辺りより余裕のある動作。

スターレイルでのワットパフォーマンスは、1フレーム辺り155mWのDimensity 9200+がSnapdragon 8 Gen 2に次いで2番手。3DMarkのピーク時比較だと悪い印象ですが、実ゲームだと効率は比較的良い方です。

GPU性能をかなり出す必要のあるDimensity 9000やSnapdragon 8 Gen 1と違い、9200+だと多少は余力があるので最大バッテリー温度も42.6℃と、常識的な範囲に抑えられています。…888は何もかも駄目。

レスレリアーナのアトリエ ~忘れられた錬金術と極夜の解放者~

最後にSnapdragon 835+RAM4GB以上で対応可能とされている、レスレリこと「レスレリアーナのアトリエ ~忘れられた錬金術と極夜の解放者~」での性能をテスト。

レスレリもデバイスの解像度で若干解像度に差が生じるので、比較兼参考用にスターレイル方式(中華圏)同様のゲーム内の撮影機能から得られる情報で、実行解像度とレンダリングピクセル数を先に確認。

K60 Ultraのレスレリ実行解像度は最高時で標準的な1680×755、総レンダリングピクセル数は126.8万です。

レスレリアーナのアトリエ:レンダリングピクセル数※参考程度
実行画面解像度:Redmi K60 Ultra
最高:1680×755
高:1120×503
標準:840×377
総レンダリングピクセル数:126.8万(最高)
実行画面解像度(参考値:Redmi Note 12 Turbo)
最高:1680×755
高:1120×503
標準:840×377
総レンダリングピクセル数:126.8万(最高)

テストには元々、Tensor G3の動作結果からArm系GPUの最適化状況を軽く調べる目的もあったので、引き続き第2章のストーリー回想を採用。慣れた原神やスターレイルと違って、レスレリはまだ仮採用の段階でもあり…。

第2章「月影の会」”重なる星~極夜に揺れる花”約15分間
計測結果
Redmi K60 Ultra
(Dimensity 9200+)
平均フレームレート:14.4fps
最低フレームレート(1%):11fps
平均消費電力:7.4W
最大バッテリー温度:42.4℃

Arm系に殆ど最適化されておらず、GPUのポテンシャルを活かせないレスレリだと…K60 Ultra(Dimensity 9200+)は平均14.4fpsです。一応、Dimensity 9000から平均・最低(1%)どちらも約2倍に向上してますが…。

完全に「Snapdragonかそれ以外か」という結果で、スペック通りの性能を発揮できず、レスレリのような最適化をサボったタイトル+純Arm IP(回路設計データ)ベースなSoCの組み合わせだと微妙な結果です。

元々Snapdragon以外の動作が悪いので、ワットパフォーマンスのグラフは酷いことに…。

極端なGPUボトルネックのレスレリだと、GPUをぶん回す傾向なので14.4fpsで7.4WなDimensity 9200+は、12.8fpsで5.4WのTensor G3に電力効率で劣ります。8 Gen 1程は爆熱じゃないのがせめてもの救いです。

その他:フレーム補間と1.5Kアップスケーリング

中国版であるRedmi K60 Ultraは、SoC以外にビジュアルプロセッサー(独显芯片)としてPixelworks X7を搭載。自社エンジン”狂暴引擎 2.0”と合わせソフト+ハードのシナジーで、優れた性能を発揮する…らしいです。

Xiaomi 13T ProではLeica監修&IMX707(1/1.28型)や望遠カメラとのトレードオフでこれらが去勢されました。

原神を含めた中華圏のゲームで100タイトル弱に対応し、対応タイトルの動作中にはゲームターボ内に”強化されたビジュアル/画面増強”機能が表示され、ON/OFFが可能になります。

フレーム補間機能の”スマートフレームレート”を有効化すると、対応タイトル(例:原神)では60fpsから48fpsに抑えられ、Pixelworks X7がフレームを挿入して擬似的に144fps(48×3)でゲームをプレイ可能になります。

”超解像”では144fpsへのフレーム補間と同時に、SoCでレンダリングしたフレームをPixelworks X7がディスプレイ解像度の1.5K相当にアップスケーリングします。疑似144fps+1.5Kは同時処理で超解像のみはできません。

非対応のタイトルだとゲームターボ内に機能が表示されず、フレーム補間やアップスケーリングは行えません。後述しますが…”強化されたビジュアル/画面増強”機能はパッケージ名で判定しているっぽいです。

原神(夜蘭C1ランニング)を864pで動作させ、フレーム補間とアップスケーリングを有効化してSceneで記録すると、平均142.8fps(47.6×3)でした。フレーム補間の利点はfps値よりも消費電力が抑えられる点です。

Pixelworks X7が処理するため、720p・60fpsでの動作と疑似144fps+1.5Kでの消費電力は然程変わりません。

一応、adb shell→dumpsys SurfaceFlinger | grep -A 5 -B 1 “Iris7 MemcMode:”のコマンドで確認してみると、MemcModeが: 3でGameFpsがベースの48なので、ちゃんとK60 Ultraも実行してくれてるみたいです。

ちなみに…原神をネイティブ解像度の864pから1.5K相当にアップスケーリングしたうえで、フレーム補間によって擬似的に144fpsで動作させられる…と聞けば、聞こえは良いかも知れませんが、便利なのはフレーム補間だけで1.5Kアップスケーリング機能は、少しシャープネスが強調された程度で微妙でした。

非対応アプリでフレーム補間やアップスケーリングの有効化を模索してみると…

原神などの対応タイトルをメインで動作させ、フローティングウィンドウで別アプリを起動すると、フローティングウィンドウにもアップスケーリングだけ適用されます。

色々使ってみてK60 Ultraの1.5Kアップスケーリングは「アップスケーリング風のシャープネスフィルター」みたいな感じで、レイヤーっぽく言えば内側でなく最前面に位置してる感じ。なので画面全体に掛かります。

フローティングウィンドウに掛かっても対応ゲーム+動画再生くらいしか恩恵無いな~と思いつつ、ON/OFFのトリガーを探してゴニョゴニョしているうちに、GenshinにリネームされたGeekbench 5を動作させたら機能が有効化されました。

…もしや、ということで試しにプロセカのパッケージ名を”com.miHoYo.GenshinImpact”に変更し、原神に偽装してK60 Ultraへインストール・動作させてみると、Geekbenchと同じように有効化されて動作しました。

コマンドから確認した場合もMemcMode: 3、GameFps: 48でした。多分パッケージ名で判定してると思います。

ボケ始めたGoogleに聞いてもよく分からなかったので、GetAppsから対応してそうな中国のゲームを手当り次第に入れてパッケージ名をコピペし、ニコ動(我的世界化)・マリオカートツアー(率土之滨化)でも動きました。

K60 Ultraで有効化したいアプリのリネームapk(中華タイトル偽装版)を用意し、45fps以上で動作するアプリなら、任意でフレーム補間やアップスケーリング機能を実行できるはずです。(…多分&理論上は)

K60 Ultra自体はそこまで悪くはないものの、単純により魅力的なAce2 ProやGT5に轢き殺され、13T Pro化してそっちの方が万人受けするとあって、安い以外は要らない子に成りかけのK60 Ultraに光が…さしません。

リネームapkで任意のアプリでも動作することは確認できましたが、肝心の各アプリの動作がリネーム化によって不安になりますし、パッケージ名をいちいち変更するのも面倒かつ簡単ではないです。

【更におまけ】(タップで開き・閉じます)

試す人がいるのか微妙すぎますが、原神含めゲームターボ内に”強化されたビジュアル/画面増強”機能が表示された、11タイトルのパッケージ名を表に残しておきます。

Redmi K60 Ultra対応ゲームアプリ・パッケージ名(中国版)
原神com.miHoYo.GenshinImpact
崩坏3com.miHoYo.bh3.mi
荒野行动com.netease.hyxd.mi
王者荣耀com.tencent.tmgp.sgame
我的世界com.netease.mc.mi
使命召唤手游com.tencent.tmgp.cod
神庙逃亡2com.imangi.templerun2
穿越火线com.tencent.tmgp.cf
蛋仔派对com.netease.party.mi
保卫萝卜4com.feiyu.luobo4.mi
率土之滨com.netease.stzb.mi
オタク特有の”試してみた”で終わると思います。リネームにはApktoolとか使って下さい。

プロセカなどのゲストアカウントでお試しが可能なアプリで動作確認してから、試したいアプリをパッケージリネームするのがベターです。変更元・先の名前での相性もあるみたいで、原神はわりと万能でした。

まとめ:触れてみると意外と面白い存在

良い悪い
・充実した付属品(Xiaomiスターターセット)
・最大144Hz・1.5K解像度のCSOT C7なフラットディスプレイ
・5%→95%が約17分で済む120W充電&シングルセル
・独自規格()のHyper ChargeだけでなくUSB PD(PPS)対応
・最小構成でRAM:12GB/ROM:256GB
・評判より安定した性能・5000mm²の合金鋼製VC冷却
・原神を720/864pで検証可能・1.5Kやフレーム補間動作対応
・Xiaomi HyperOS&(まだ)ブートローダーアンロック対応
・最小構成で5万円以下と安い(コスパも良いとは言ってない)
・カメラ部分が浮いた印象の微妙なデザイン(個人的)
・音質の良かったKシリーズにしては劣化したスピーカー
・一部のベンチマークアプリでスコアが変(意図的…?)
・ピーク時のGPU消費電力14W超えは中々ぶっ飛んでる
・LPDDR5XかつRAM:12GBにしては振るわない
・Pixelworks X7採用…が、原神以外の対応タイトルが微妙
・なんちゃってトリプルカメラ(メイン以外いらない)

Dimensity 9200+は普通に良好なSoCで、K60 Ultra自体もアップデートの影響もあって評判より安定した性能ですし、実際のところ性能比で安いのは事実です。ただ同じくらいの値段で他に魅力的な存在が多いので微妙。

ぶっちゃけ、K60 Ultraを愛してるとかじゃなければ本当に他の端末で良いし、ブートローダーアンロック可能でDimensity 9200+が欲しいなら、カメラ性能が良好かつ日本語対応なXiaomi 13T Proで良いです。

まぁ…使ってみるとMIUI→HyperOSで今まで通りrootを取れるし、パッケージリネームしたらフレーム補間とか動いた(動いただけ)ので、使ったなりに意外と面白かったです。

…それにしてもDimensity 9000がかませ犬にしかならず、9200+で検証通りの向上・差が開くとやっぱりZenっぽくて、9200系はZen→Zen 2の流れに近く、完全体のZen 3のようなD9300への布石…といった印象。

コメント

  1. 匿名 より:

    レビューお疲れ様です。
    当方はXiaomi13T持ちですがスピーカーは記事にもあるように以前持っていたF4GTのほうが良かったなと感じていたので、替えない方が良かったと後悔しています。
    各所でボロクソ言われてるスナドラ8gen1もゲームがメインでなければ個人的に快適でしたし、むしろ今となってはコスパは良いのかなと思います(某銀河FEはちょっとアレですが)

    • hiro より:

      スピーカーだけは、左右対称かつクアッド構成でツィーターのあるF4GTは、今でもハイエンドに劣らない音質があると思います。
      スピーカー良し、ディスプレイ良しで5万円位だったら、メディア視聴用スマホとしては中々優秀…。13TやK60Uは構造的に色々と不利ですね。
      重視する方向性によっては匿名サンみたいに、前の方が良かったとなるかも…。

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